コンプライアントGMT:残差アダプターで汎用モーション追従ヒューマノイドを柔らかく
このプレプリントは既存のヒューマノイド動作制御器に小さな追加ネットワークを付け、押されたり引かれたりしたときに全剛性で押し返さず受け流すようにした。GR00TのVLA方策で動くユニツリーG1では、60Nで引っ張られても箱の持ち上げに50回中46回成功し、硬い従来制御器の28回を大きく上回った。
モーション追従器を一から学習し直さずに、ひとつのヒューマノイド制御器が任意の人の動きを追従しつつ、外力には全身で柔らかく応答できるか。
大規模モーションキャプチャで学習した汎用モーション追従器(GMT)は、ヒューマノイドの遠隔操作やVLAモデル出力の実行を担う標準の下位層になった。だが参照動作に硬く追従するよう学習されているため、予期しない接触があると目標姿勢へ強く押し込み、ロボットや物、人を傷つけかねない。従来の柔軟制御は単一動作専用か、上半身だけが譲る方式だった。
SoftMimicは動作ごとに別の方策を学習し、GentleHumanoidとCHIPは上半身のみ柔らかく、LACは脚に速度と高さの指令しか与えない。いずれも追従と柔軟性を一つの方策で同時に学ぶため、学習が長く報酬調整が難しいと著者らは指摘する。
C-GMTは役割を分ける。まずエヌビディアのオープンな追従器SONICを、手先に最大2kgの荷重と持続的な外力(学習時の予算を片腕10Nから30Nへ増加)がかかっても追従できるよう微調整した。次に、外力と指令剛性からばね則と逆運動学で参照動作の修正量を求める特権教師を作り、学習前に4096動作でシミュレーション上の実現性を確認した。最後に、力センサーなしで関節履歴10ステップだけを見る軽量な残差アダプターがSONICの離散モーショントークンを補正する。外力がないときは動作をそのまま通すゲートと、振動を抑える2つの損失を入れ、剛性は40〜600N/mで調整できる。
力に強くした追従器は、学習外の128クリップでSONICに対し、40Nの引っ張りで成功率を0.906から0.945へ、60Nで0.820から0.867へ高めた。外乱なしのLAFAN1評価では、歩行クリップの成功率97.1〜97.9%(SONIC 98.9%、TWIST2 86.8%、GentleHumanoid 68.6%)、動的クリップ88.0〜88.3%(SONIC 90.4%)を維持した。実効剛性は動作専用のSoftMimicと同等に指令値に従った。GR00T N1.7-3B方策で歩いて箱を持ち上げる課題では、外乱なしで49/50対48/50、20Nで44/50対34/50、40Nで41/50対30/50、歩行序盤の60Nで46/50対28/50だった。実現性に基づく外力サンプリングで学習中の転倒は約13分の1(0.4%対5.4%)に減った。
プレプリントで、arXiv版には著者の所属が記載されておらず、コードは公開予定とされる。柔軟応答は手先にかかる力についてのみ学習され、他部位の接触は今後の課題だ。剛性は人が設定する。歩行時の大域位置誤差はSONICより大きい(0.43〜0.44m対0.24m)。実機の結果は主にデモで、50回のVLA試験は手続き的に生成した教示データによる単一タスクに限られる。
多くのヒューマノイド企業はAI方策の下にモーション追従層を置いており、SONICはエヌビディアGR00T周辺のオープンな選択肢だ。この層を再学習せずに後付けできる柔軟性アダプターは、G1の利用者や遠隔操作データ企業、サービスロボットのインテグレーターがすぐ取り込める部品であり、人のそばで働く前に規制当局が問う安全性に直接応える。協働ロボットの力制限で実績のあるファナックや安川電機の知見がヒューマノイドへ移る際の比較対象にもなる。論文は韓国産業通商資源部のKIATを通じた支援を明記している。研究用途では6〜18カ月、認証が要る産業用途ではさらに先になる。