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ヒューマノイドの電池はどれだけ持つ?1回1.5〜3時間、勝負は補給の速さ

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分析Agility Robotics

公表仕様では、ヒューマノイドロボットは1回の充電で約1.5〜3時間動く(Unitree G1は約2時間、H2は約3時間)。上位メーカーは稼働時間ではなく復帰の速さで競う。AgilityのDigit 5は90分稼働に9分充電(10対1、48ボルト240アンペアのドック)、1XのNEOは稼働1時間あたり6分充電、Figure 03は足から2キロワットで無線充電、UBTECHのWalker S2は3分以内に自ら電池を交換する。

MEKAWIRE計算では10対1で1日21.8時間働けるが、Digit 5は電池と冷却が胴体の75%を占め、重量は120キロを超える。

ヒューマノイドロボットは1回の充電で約1.5〜3時間動く。実際の作業現場向けに売るメーカーは、この時間を延ばすより、作業に戻るまでの時間を縮める道を選んだ。UnitreeはG1の稼働時間を約2時間、大型のH2を約3時間と表示している。Agility Roboticsの新型Digit 5は90分働いて9分で満充電に戻る。同社が[10月15日の発表](/news/agility-chooses-nyobolt-for-ultra-fast-charging-for-digit-5-humanoid-20261015)で示した稼働対充電10対1の比率だ。1Xも家庭用ロボットNEOの製品ページで、稼働1時間あたり充電6分という同じ比率を掲げる。

上位メーカーを分けるのは電池の持ちではなく、作業への復帰の速さだ。本稿では各社の公表値と、それが1日の作業に持つ意味、そして代償として増えた重量を整理する。

1回の充電での稼働時間はほぼ伸びていない

ヒューマノイド6機種の電力補給
  • Digit 5(Agility Robotics)
    1回の充電での稼働時間
    90分
    補給方法
    ドック充電、9分で満充電(10対1)
    電池または充電の数値
    ドック48ボルト、240アンペア
    重量
    120キロ超
  • Digit 4(Agility Robotics)
    1回の充電での稼働時間
    非公表
    補給方法
    稼働対充電2対1
    電池または充電の数値
    非公表
    重量
    非公表
  • NEO(1X)
    1回の充電での稼働時間
    非公表
    補給方法
    自ら差し込んで充電、稼働1時間あたり充電6分
    電池または充電の数値
    842ワット時
    重量
    66ポンド
  • Figure 03(Figure AI)
    1回の充電での稼働時間
    非公表
    補給方法
    ワイヤレス充電台に乗る、足にコイル
    電池または充電の数値
    2キロワット誘導充電
    重量
    非公表
  • Walker S2(UBTECH)
    1回の充電での稼働時間
    非公表
    補給方法
    3分以内に自ら電池交換、デュアル電池
    電池または充電の数値
    非公表
    重量
    非公表
  • G1(Unitree)
    1回の充電での稼働時間
    約2時間
    補給方法
    着脱式電池、充電器
    電池または充電の数値
    9000ミリアンペア時、充電器54ボルト5アンペア
    重量
    約35キロ
  • H2(Unitree)
    1回の充電での稼働時間
    約3時間
    補給方法
    着脱式電池、充電器
    電池または充電の数値
    15アンペア時(0.972キロワット時)
    重量
    約70キロ

出所:Agility 2026年10月15日発表、Jonathan Hurst氏の10月19日IEEE Spectrum寄稿、1X、Figure、UBTECH、Unitreeの製品ページ(10月19日確認)。公表値のみ。

2026年10月19日時点

公表された稼働時間は狭い範囲に集まる。G1は9000ミリアンペア時の着脱式電池で約2時間、H2は0.972キロワット時で約3時間で、平均消費電力は約324ワットになる。1XはNEOの電池を842ワット時と公表した。FigureはFigure 03の稼働時間を公表しておらず、UBTECHのWalker S2の製品ページにも記載がない。1回の充電で8時間勤務を満たすと主張するメーカーはない。

残る論点はどう補給するかで、ここで各社の選択が分かれる。

補給の4つの方式

Agilityはドック方式だ。共同創業者で最高ロボット責任者のJonathan Hurst氏は19日の[IEEE Spectrum寄稿](/news/agility-cofounder-hurst-digit-5-over-120kg-sits-down-near-people-ieee-essay-20261019)で、Digit 5のドックは48ボルト、240アンペア、つまり11.52キロワットで給電し、ファンが胴体内の通路に空気を送って電池を冷やすと書いた。電池は英ケンブリッジの急速充電専業Nyoboltが供給する。

1Xは同じ考え方を家庭に持ち込む。NEOは電力が必要になると自ら差し込む。Figureは Figure 03の足にコイルを組み込み、ワイヤレス充電台に乗るだけで2キロワットで充電できるようにした。作業中に充電マットへ行ければほぼ連続で働けると同社は説明する。UBTECHは充電待ちそのものをなくした。Walker S2は電池を2個積み、3分以内に自ら1個を交換し、作業の優先度に応じて交換と充電を選ぶ。Unitreeは着脱式電池と充電器を売る最も単純な形で、研究機関向けの構成だ。

これらの方式が1日単位でどれほどの差になるかが次の問いだ。

10対1が勤務時間に持つ意味

公表値から計算した指標
  • Digit 5の1日に占める作業時間
    値
    90.9%(21.8時間)
    計算方法
    90 / (90 + 9)、24時間を掛ける
  • Digit 4の1日に占める作業時間
    値
    66.7%(16.0時間)
    計算方法
    2 / (2 + 1)、24時間を掛ける
  • NEOの稼働と充電のサイクルに占める稼働
    値
    90.9%
    計算方法
    60 / (60 + 6)
  • Digit 5のドック出力
    値
    11.52キロワット
    計算方法
    240アンペア x 48ボルト
  • Digit 5が9分の充電で得られる電力量
    値
    最大1.73キロワット時
    計算方法
    11.52キロワット x 9 / 60時間、上限
  • Digit 5ドックとFigure 03無線充電の比
    値
    5.76倍
    計算方法
    11.52 / 2
  • Digit 5ドックとUnitree G1充電器の比
    値
    42.7倍
    計算方法
    1万1520ワット / 270ワット
  • Unitree H2の平均消費電力
    値
    約324ワット
    計算方法
    972ワット時 / 約3時間、概算

MEKAWIRE計算、2026年10月19日時点。作業比率は作業と充電だけを繰り返す前提で、上限値は充電損失と充電末期の電流低下を考慮していない。

2026年10月19日時点

作業と充電だけを繰り返すと仮定すれば、Agilityの比率のロボットは1日の90.9%、約21.8時間働ける。24時間のうち20時間超働けるという同社の説明と合う。Digit 4の2対1では66.7%、16時間が上限だった。11.52キロワットのドックはFigureの無線充電台の5.76倍、Unitree G1の充電器の42.7倍に当たる。9分間フル出力で充電しても、得られる電力量は1.73キロワット時が上限だ。

速さには代償があり、Hurst氏はそれを隠さなかった。

重量という請求書

Digit 5の重量は120キロを超える。Hurst氏は、電池と冷却系が胴体の約75%を占め、ロボットはもう走ることも跳ぶこともできないと書いた。H2は約70キロ、NEOは66ポンド(約29.9キロ)だ。Agilityの判断は、人のそばで23キロのコンテナを1日20時間持ち上げるという仕事から来ている。顧客と上場の経緯は[MEKAWIREのAgility解説](/news/what-is-agility-robotics-digit-5-funding-spac-listing-aglt-customers-explained-20261016)にまとめた。

MEKAWIRE分析

ヒューマノイドの競争軸は電池の持ちから補給の速さに移った。公表されたすべての仕様で1回の稼働は約1.5〜3時間にとどまり、上位メーカーは10対1のドック、3分の交換、ワイヤレス充電で復帰時間を競っている。

根拠は、産業用のAgilityと家庭用の1Xが同じ10対1にたどり着き、中国大手のUBTECHが交換方式を選んだことだ。最も強い反論は電池の化学で、エネルギー密度が大きく高いセルが出れば補給速度の競争は意味が薄れる。ただ、これまでの公表仕様にその兆しはなく、Agilityのロボットは現行方式の代償を重量で示している。

日本の部品メーカーにとっての含意もある。電池と冷却で胴体が重くなれば、脚や腰の関節にかかる負荷は増え、減速機やモーターに求められるトルクと耐久性は上がる。波動歯車減速機やRV減速機を供給する国内勢にとって、重い産業用ヒューマノイドは小型機とは別の仕様の需要になりうる。

強気の筋書きは、速い補給がヒューマノイドを2交代制の機械にするというものだ。Agilityの最高事業責任者が事業性の核心と呼んだ点である。弱気の筋書きは、11.5キロワットのドックが現場ごとに電源と冷却の設備を求め、重いロボットほど人のそばでの安全認証が難しくなること([安全規格の解説](/news/robot-safety-standards-2026-explained-iso-10218-2025-iso-ts-15066-humanoid-iso-25785-1-eu-korea-china-20261017)参照)、そしてNyobolt電池を積んだDigit 5の顧客への提供が2027年上半期からになることだ。

確かめるべき日程は3つある。11月2日のChurchill Capital Corp XI株主総会でのAgility合併の採決、2027年上半期のDigit 5早期提供の開始、そしてUBTECHが香港取引所に出す次の決算資料で、Walker S2の納入が交換方式とともに伸びているかだ。価格の比較は[ヒューマノイド価格の解説](/news/how-much-does-a-humanoid-robot-cost-2026-prices-unitree-r1-g1-h2-1x-neo-ff-nova-figure-agility-explained-20261016)にある。

このニュースは好材料か、悪材料か

 

要点
答え
公表仕様では1回の充電で約1.5〜3時間
Digit 5
稼働90分、充電9分(10対1)、48ボルト240アンペアのドック、120キロ超
Digit 4
稼働対充電2対1、1日の作業は16時間が上限
NEO
842ワット時、稼働1時間あたり充電6分(10対1)、自ら充電
Figure 03
足のコイルで2キロワットのワイヤレス誘導充電
Walker S2
デュアル電池、3分以内に自律交換
Unitree
G1は約2時間(9000ミリアンペア時)、H2は約3時間(0.972キロワット時)
MEKAWIRE計算
10対1なら1日の90.9%、約21.8時間作業
出典
MEKAWIRE インテリジェンス
  1. 01

    なぜ重要か

    工場や物流センターの顧客が対価を払うのは稼働率だ。同じ価格でも1日16時間働くロボットと22時間近く働くロボットでは投資回収期間が大きく違う。公表仕様によって、補給戦略を直接比べられるようになった。

    サプライチェーンの重心も動く。急速充電セル、ドックとパワーエレクトロニクス、熱設計が部品表の中心に近づく。

  2. 02

    競合分析

    産業用の稼働率の公表値ではAgility(10対1、1日20時間超)が先行する。1Xは家庭用で同じ比率を実現した。Figureの2キロワット無線充電は速度より非接触の充電を選んだ。UBTECHの3分交換は充電待ちをなくすが、現場に予備電池と交換設備が要る。Unitreeの着脱式電池は交代勤務より研究室向けだ。

    中国大手は交換、米国の産業用は急速ドック、米国の家庭用と汎用はドックか無線充電に分かれた。

  3. 03

    企業価値の背景

    MEKAWIREのデータベースでは、Agilityの直近の非上場ラウンドの企業価値は払込後20億ドルで、Churchill XIとの合併は払込前25億ドルが基準だ。Figure AIの企業価値は390億ドル。いずれも公表された稼働時間と直接結び付いてはいないが、Agility経営陣は稼働率を事業性の核心に据える。

    1Xの検証済み調達額は1億2350万ドル。ロボット1台あたりの電池コストを公表したメーカーはない。

  4. 04

    サプライチェーンへの影響

    Digit 5の電池は英Nyoboltが供給する。UnitreeはG1に13直列のリチウム電池を使うと表示している。FigureはFigure 03のために新たなサプライチェーンを築き、重要モジュールを垂直統合し、BMS、セル、接続部の各段階に電池の安全対策を入れたとしている。

    急速ドックが広がれば、大電流コネクターや充電器、冷却機器の需要が増える。日本の電源機器や部品メーカーにとっての新しい用途だ。

  5. 05

    今後の注目点

    2026年11月2日、Churchill XIでのAgility合併の採決。2027年上半期、Nyobolt電池搭載のDigit 5早期提供と、その後6〜9カ月での拡大。UBTECHの次の香港取引所での決算資料に示されるWalker S2の納入台数。1回の充電で3時間を超える仕様が公表されれば、この分析は弱まる。

  6. 06

    アナリストの見方

    論点:ヒューマノイドは稼働時間ではなく、補給からの復帰時間で競うようになった。確信度:中。仕様は一次資料で一貫しているが、比率を商用展開計画と結び付けたのはAgilityだけで、急速充電機はまだ量産出荷前だ。

  7. 07

    問うべき論点

    10対1の運用でNyobolt電池のサイクル寿命はどこまで持つのか。11.5キロワットのドックを数十台並べるには現場にどれだけの電源容量が要るのか。FigureはFigure 03の稼働時間を公表するのか。Walker S2の現場ではロボット1台あたり予備電池を何個持つのか。