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米Rhoda AI、シリーズAで4億5000万ドル調達し表舞台に ネット動画で学んだモデルで工場ロボットを動かす

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米Rhoda AI、シリーズAで4億5000万ドル調達し表舞台に ネット動画で学んだモデルで工場ロボットを動かす (イラスト:MEKAWIRE)

米パロアルトの新興企業Rhoda AIは2026年3月10日、Khosla Ventures、Mayfield、テマセクなど9機関とJohn Doerr氏からシリーズAで4億5000万ドルを調達したと発表した。Direct Video Actionモデルが作業の映像を予測してロボットの動作に変換する。

新しい作業に必要な遠隔操作データは10時間で済む場合もあるという。リード投資家、企業価値、顧客は開示していない。

ロボットに映像を予測させて作業を教える米パロアルトの新興企業Rhoda AIは2026年3月10日、シリーズAで4億5000万ドルを調達し、非公開での開発段階を終えたと発表した。資金は研究開発、産業現場への導入と顧客の試験運用の拡大、人員の増強に充てる。

同社の発表によると、出資したのはCapricorn Investment Group、Khosla Ventures、Leitmotif、Matter Venture Partners、Mayfield、Premji Invest、Prelude Ventures、シンガポールの政府系投資会社テマセク、Xoraで、John Doerr氏ら個人投資家も加わった。リード投資家と企業価値は明らかにしていない。公表前の18カ月間は非公開で開発を進めていたという。

何を開発したのか

中核モデルはDirect Video Action(DVA)と呼び、その上に構築した製品層がFutureVisionだ。発表文はFutureVisionを、現在同社のシステムを動かしている基盤モデルと位置づける。モデルはインターネット規模の映像で事前学習しており、出資者のMayfieldは発表当日の文章で学習に使った映像を数億本としている。稼働時にはロボットの前の場面がどう展開すべきかを予測し、その予測をモーター指令に変換する。この処理を数百ミリ秒ごとに閉ループで繰り返す。

同日公開した技術解説「因果的映像モデルはデータ効率の高いロボット方策学習器である」は仕組みをより詳しく説明した。因果的映像モデルが過去の映像、ロボットの関節情報、言語による指示から将来のフレームを予測し、別の逆動力学モデルがそのフレームを生み出す動作を計算する。同社によれば逆動力学モデルに必要なロボット固有データは約10時間で、ランダムな動作でも学習できる。Leapfrog Inferenceと名付けた手法は、ロボットが現在の動作を実行している間に次の予測を計算し、推論の遅れを隠す。

解説が示したのはベンチマークの点数ではなく長時間の自律稼働の記録だ。11時間分のロボットデータで学んだ移し替え(デキャンティング)作業は1時間30分途切れずに動き、17時間分のデータで学んだコンテナ解体作業は160分続いた。新しい作業の追加学習には10〜20時間の作業データが要るとし、発表文は遠隔操作データ10時間で済む作業もあるとした。成功率や他のロボットモデルとの直接比較は公表していない。

商用面の成果として、発表文は最近の大量生産工程での評価で、部品処理の工程を1サイクル2分未満で人手を介さずに完了し、顧客の性能目標を上回ったとしている。顧客名は伏せた。同社のウェブサイトは自動車、製造、物流、電子商取引を対象分野に挙げ、返品処理、ベアリングの移し替え、コンテナ解体を紹介する。独自アクチュエーターを備えた車輪型ロボットも掲載しており、定格可搬重量は25キログラム、最大40キログラムで、すべてのアクチュエーターにブレーキを備える。

経営陣

Jagdeep Singh最高経営責任者(CEO)は全固体電池の米QuantumScapeの共同創業者だ。QuantumScapeの発表によると、同氏は2024年2月15日にCEO職をSiva Sivaram氏に譲り、取締役会議長にとどまった。MayfieldはSingh氏がこれまでに7社を立ち上げたと紹介している。Eric Ryan Chan最高科学責任者(CSO)はスタンフォード大学でコンピュータービジョンと生成モデルを研究し、World Labsで生成モデルの設計を担った。スタンフォード大学計算イメージング研究室を率いるGordon Wetzstein教授もチームに名を連ねる。Singh氏は発表文で、ロボットの次の時代には世界がどう動くかを理解するモデルが必要で、見た目や言葉による説明をとらえるだけでは足りないと述べた。

競合との位置関係

今回の調達は、米国のロボットAI投資が最も集中した四半期に重なった。各社の発表によると、Skild AIは1月14日にソフトバンクグループ主導のシリーズCで14億ドルを調達し企業価値は140億ドルを超えた。Rivianから独立したMind RoboticsはRhodaの公表翌日に5億ドルを、Sundayは3月12日に1億6500万ドルを調達した。Physical Intelligenceは2025年11月にCapitalG主導でシリーズBを実施している。多くは画像とテキストで事前学習した網に動作出力を加える視覚言語行動(VLA)モデルを開発している。Rhodaはウェブサイトで、DVAは従来のVLA方式が苦手とする汎化を実現すると主張する。

Rhoda AIのシリーズAと最近の米欧ロボットAI調達の比較
  • Rhoda AI
    国
    US
    ラウンド
    Series A
    金額(ドル)
    450,000,000
    調達後企業価値(ドル)
    データなし
    発表日
    2026-03-10
  • Skild AI
    国
    US
    ラウンド
    Series C
    金額(ドル)
    1,400,000,000
    調達後企業価値(ドル)
    14,000,000,000
    発表日
    2026-01-14
  • Mind Robotics
    国
    US
    ラウンド
    Series A
    金額(ドル)
    500,000,000
    調達後企業価値(ドル)
    データなし
    発表日
    2026-03-11
  • Sunday
    国
    US
    ラウンド
    Series B
    金額(ドル)
    165,000,000
    調達後企業価値(ドル)
    データなし
    発表日
    2026-03-12
  • Dyna Robotics
    国
    US
    ラウンド
    Series A
    金額(ドル)
    120,000,000
    調達後企業価値(ドル)
    データなし
    発表日
    2025-09-15
  • Genesis AI
    国
    FR
    ラウンド
    Launch round
    金額(ドル)
    105,000,000
    調達後企業価値(ドル)
    データなし
    発表日
    2025-06-30

各社開示の金額と企業価値、非開示はnull。推計なし。

2026年10月1日時点

言語ではなく映像を選ぶ理由

ロボット学習の最大の制約はデータだ。人がロボットを操作して手本を示す遠隔操作データは、集めるのに時間と費用がかかる。一方でネット上の映像は膨大で、手や工具、物体が重力や接触の下でどう動くかを記録している。次の場面を予測するよう学んだモデルは大まかな物理の感覚を身につける。Rhodaはこの事前知識によって、作業ごとに必要なロボットデータを数日分の遠隔操作まで減らせると見る。代償は計算量で、映像フレームの生成は短い動作列の出力より重い。同社が推論の遅れ対策に力を入れたのはそのためだ。

Rhodaが2026年3月10日に開示したDVAの作業稼働記録
  • 移し替え
    ロボットデータ(時間)
    11
    最長連続自律稼働(分)
    90
    ロボットデータ1時間当たり稼働分
    8.2
  • コンテナ解体
    ロボットデータ(時間)
    17
    最長連続自律稼働(分)
    160
    ロボットデータ1時間当たり稼働分
    9.4

Rhodaの研究記事による。1.5時間=90分。比率=稼働分÷ロボットデータ時間、小数第1位で四捨五入。成功率の指標ではない。

2026年10月1日時点

日本の産業への示唆

人手不足が深刻な日本の製造業と物流業では、ロボットを入れても作業ごとの教示や調整に時間がかかり、多品種少量の現場ほど導入が進みにくい。新しい作業を10〜20時間のデータで覚えるモデルが実用になれば、システムインテグレーターの立ち上げ期間が縮み、中堅中小の工場にも自動化の道が開ける。ファナックや安川電機など国内ロボット大手は米IT企業と組んでフィジカルAIを取り込みつつあり、映像予測型の制御モデルも提携先の選択肢に入りうる。ハーモニックドライブなど精密部品メーカーにとっては、独自アクチュエーターを持つ新興勢がどこから部品を調達するかが注目点になる。

リスクと未解決の問い

Rhodaが示したのは少数の作業での長時間稼働で、多数台の運用での信頼性の統計ではない。成功率、1時間当たりの介入回数、VLA基準モデルとの比較がなければ、映像事前学習の効果を外部から測れない。製造工程の評価は顧客名が伏せられ、ハードウエアの製造元も明らかでない。Mayfieldはこの事業を「サービスとしての労働」と位置づけ、1000台を導入すれば年間の継続収入は約1億ドルになると書いた。1台当たり年約10万ドルとなり、置き換える勤務シフトの総人件費より安くなければ成り立たない価格だ。

今後の焦点

Rhodaは2026年9月10日、ウェブ映像による事前学習を拡大すれば実際のロボット作業の性能が上がるかを検証した研究記事を公開した。最初の実名の量産顧客、介入率の公表、導入1台当たりの価格が、今回の調達を事業に変える指標になる。

MEKAWIRE分析

Rhoda AIはロボット制御の事前学習の土台を言語ではなく映像予測に置くべきかを最も明確に試す企業であり、4億5000万ドルは工場の現場でその答えを出すための時間を買った。

開示内容はこの見方を裏付ける。2つの長時間稼働に使ったロボットデータは11時間と17時間で、作業ごとに1週間の労働時間にも満たない。名前を伏せた製造業者は1サイクル2分未満で目標を達成した。公開された製品の実績がない企業に9機関とJohn Doerr氏が4億5000万ドルを投じたことは、ロボット知能で独自の技術路線に投資家がどれだけ払う用意があるかを示す。

最も強い反論は、手法が独占的ではないという点だ。Skild AIやPhysical Intelligence、大手プラットフォーム企業は将来フレームの予測を自社モデルに加える計算資源と映像データを持つ。手法が収れんすればRhodaの優位は実行力とハードウエアに絞られるが、そこはほとんど開示されていない。

強気シナリオ:少ないデータで済む特性が数十の作業で保たれ、自動車や物流の工場での試験運用が2027年に有償の多数台導入に移り、1台当たり収入がサービスとしての労働モデルを証明する。その後の価格付きの追加調達で、シリーズAで示されなかった企業価値が決まる。

弱気シナリオ:映像生成が現場で動かすには遅すぎるか高すぎ、成功率が生産ラインの許容水準を下回ったまま伸び悩み、顧客は評価段階にとどまる。Rhodaは確かな指標がないまま、すでに売上高を開示する競合と比べられながら再び資金を集めることになる。

注目すべきシグナル:

  • 2026年9月10日のスケーリング研究に続き、実名のVLA基準モデルと比べた成功率を公表するか。
  • 2027年1〜3月期末までに、実名の製造業や物流業の顧客が評価から有償導入に移るか。
  • 2027年に企業価値の開示や追加調達があるか。同社にとって初めての公開された価格になる。

このニュースは好材料か、悪材料か

 

要点
企業
Rhoda AI(米カリフォルニア州パロアルト)
ラウンド
シリーズA、4億5000万ドル
発表日
2026年3月10日
出資者
Capricorn Investment Group、Khosla Ventures、Leitmotif、Matter Venture Partners、Mayfield、Premji Invest、Prelude Ventures、テマセク、Xora、John Doerr氏
リード投資家
非開示
企業価値
非開示
モデル
Direct Video Action(DVA)、FutureVisionプラットフォーム
作業当たりロボットデータ
遠隔操作で最短10時間、研究記事では10〜20時間
非公開開発期間
18カ月
CEO
Jagdeep Singh氏(QuantumScape共同創業者)
出典
MEKAWIRE インテリジェンス
  1. 01

    なぜ重要か

    2026年初めにロボット知能へ流れた資金の大半は、世界知識を画像とテキストの事前学習から受け継ぐVLAモデルに向かった。Rhodaは映像予測を事前学習の目標に据えて技術全体を組み立てた初の大型調達の米国企業で、その成果は業界の設計判断を占う試金石になる。

    実務上の焦点はデータのコストだ。新しい産業作業が本当に10〜20時間のロボットデータで済むなら、導入は数カ月がかりのデータ収集から数日の立ち上げ作業に変わり、多品種生産や返品処理でのロボットの採算が変わる。

  2. 02

    競合分析

    Skild AI(1月にシリーズCで14億ドル、企業価値140億ドル超)とPhysical Intelligence(2025年11月にCapitalG主導でシリーズB)は多様な機体に使える汎用の頭脳を売り、公開している成果も多い。3月11日に5億ドルを調達したMind RoboticsはRivian由来の産業顧客基盤を持つ。Rhodaはこれらと同じ製造と物流の試験案件を争う。

    日本では大手ロボットメーカーが米IT企業と組んでフィジカルAIを取り込む動きが中心で、汎用ロボット基盤モデルを自ら開発して大型調達した新興企業はまだ少ない。Rhodaの差異は構造にあり、弱点は開示の少なさだ。

  3. 03

    企業価値の背景

    Rhodaは企業価値を開示しておらず、MEKAWIREが確認した出資者の発表にも記載がない。一次資料からは価格も上昇率も計算できない。他所で報じられた数字は同社が確認しておらず、本稿では使わない。

    規模だけで見ると、シリーズAの4億5000万ドルはSkild AIのシリーズCの32%、Mind RoboticsのシリーズAの90%に当たる(調達額÷比較対象の調達額)。Mayfieldが示した1000台で年約1億ドルの継続収入は1台当たり年約10万ドルで、記録に残る唯一の単位経済の数字だ。

  4. 04

    サプライチェーンへの影響

    ウェブサイトは独自アクチュエーターを持つ車輪型ロボット(定格25キログラム、最大40キログラム、全アクチュエーターにブレーキ)を紹介するが、受託製造先やアクチュエーターの調達先は示していない。頭脳と機体の両方を手がける企業は、モデル専業企業が避けられる供給網のリスクを抱える。

    より大きな依存先は計算資源だ。数百ミリ秒ごとに映像を生成するには相当な推論能力が要り、1台当たりのコストがGPU価格とエッジの計算環境に左右される。日本の減速機やセンサーのメーカーにとっては、新興勢の機体の部品調達が新たな商機になりうる。

  5. 05

    今後の注目点

    2026年9月10日のウェブ映像事前学習のスケーリング研究は、映像の計算量を増やせばロボットの性能が上がるかを確かめる最初の材料だ。成功率を含む続報が次の段階になる。

    事業面では、匿名の製造評価が実名顧客に変わるか、1台当たり価格を開示するか、価格付きの追加調達があるかを見たい。

  6. 06

    アナリストの見方

    論点:Rhoda AIは、映像予測で作業当たりのロボットデータを数日分まで減らせるという信頼に足る資金力ある賭けで、今後1年でその優位が生産ラインで通用するかが分かる。確度:中。理由:チーム、出資者の顔ぶれ、11時間と17時間の稼働記録は具体的だが、成功率、基準モデルとの比較、実名顧客、価格がない。

    実名顧客による多数台導入と介入率の公表があれば確度を上げ、2027年になっても匿名の評価しか示さなければ下げる。

  7. 07

    問うべき論点

    移し替えとコンテナ解体の作業でDVAの成功率と1時間当たり介入回数はどれほどか。同じデータで学習したVLA基準モデルと比べてどうか。

    推論はロボット上で動くのか、近くのサーバーで動くのか。1台1時間当たりの計算コストはいくらか。

    車輪型ロボットはどこが製造し、顧客は1台に年間いくら払うのか。