1つの方策でユニツリーG1がはしご昇降や壁越え、複合コース成功率92.5%(ETHチューリッヒ)
スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH)ロボットシステム研究所の単一の学習制御器で、ユニツリーのヒューマノイドG1がはしごを登り、低い壁を越え、はって進み、飛び石を渡り、床から立ち上がった。シミュレーションの複合コース8本で平均成功率92.5%と比較手法MGMTの58.8%を上回り、処理はすべて搭載のエヌビディアJetson Orinで動く。
人の動作を追従する制御器の自然な全身運動と、参照動作なしの強化学習が持つ地形への汎化力を、1つのヒューマノイド方策で両立できるかを問う。
純粋な強化学習は多様な地形に強いが、はしごで手を使うような全身協調を自力で見つけにくい。録画した人の動作を追う制御器は動きが自然な一方、学習した動作と違う地形では失敗する。
従来は技能ごとに報酬を手作業で設計するか、胴体と関節の軌道全体を追従して録画動作に縛られていた。MGMTのような動作生成型プランナーは手足の将来位置を予測するが、対応データのない地形では性能が落ちた。
研究チームは動作データを学習の足場としてだけ使う。第1段階で手足をどこに接地させるかという接触指令に従う全身追従器を事前学習し、第2段階で地形マップから接触目標を選ぶアテンション型プランナーを学習する。第3段階では参照動作のない地形も含む目標到達課題で両者を強化学習で同時に微調整する。
動作データがある地形では接触指令だけで全カテゴリーの成功率が98.5%以上となり、関節軌道を加えても改善しなかった。第3段階の微調整で全ての目標到達カテゴリーと未知地形の成功率と接触精度が上がり、まばらな足場を全身で渡る地形では54.8ポイント向上した。複合コース8本では手法とコースごとに1000回試行し、平均92.5%とMGMTの58.8%を上回った。実機G1でも同じ方策ではしごや段差の昇降、壁越え、ほふく、飛び降り、着座をこなした。
プレプリントである。成功率はセンサー雑音、物理パラメーターのランダム化、動作遅延を切ったシミュレーションの値で、実機は成功率を測った試験ではなく実演だ。著者は地形と接触の表現が2.5次元のため頭上の接触やぶら下がり、物体操作にはより豊かな3D認識が要ること、大域的な経路探索を扱わないこと、明確な接触のない空中動作に対応できないことを認めている。
建設や点検、災害対応にヒューマノイドを投入するには、歩くだけでなく登る、はう能力が要る。軌道全体ではなく接触目標で学習する手法は、G1を使う国内の研究室や中型ヒューマノイドを開発する企業が1〜2年で取り入れられる内容で、搭載計算機も現行のJetson Orin級で足りる。減速機やアクチュエーターを供給する日本の部品メーカーには、はしご昇降のような高負荷動作が実用課題に入ってくることを意味する。
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