中国の輝羲智能、ロボット用AIチップで年内25億元超を調達 AgiBot G2で量産
身体性AIロボット向け高演算チップを開発する中国の輝羲智能(Huixi Technology)が、プレB+とシリーズBを相次いで完了し、2026年の株式調達額が累計25億元を超えた。既存株主の星連資本が21日に公表した投資先情報で明らかにした。
北京市人工知能産業投資基金が主導し、国家人工知能産業投資基金や北京市ロボット産業発展投資基金が新たに加わった。同社の光至R1チップは2025年にAgiBotのElf G2で量産に入ったという。
中国のロボットメーカーが「頭脳」まで国産化に動いている。身体性AI向け高演算チップを開発する輝羲智能が、プレB+とシリーズBを相次いで完了し、2026年の株式調達額は累計25億元を超えた。既存株主の星連資本が21日に公表した投資先情報で明らかにした。ラウンドごとの金額は開示していない。
出資者の顔ぶれは中国の産業政策そのものだ。北京市人工知能産業投資基金が主導し、国家人工知能産業投資基金、北京市ロボット産業発展投資基金、InnoVision Capital、Loyal Valley Capital、CIC Investment、華泰保利などが参加した。順為資本、Cathay Capital、商湯国香資本、三七互娯など既存株主も追加出資した。
すでに量産ロボットに載るチップ
同社は資金を次世代の身体性AI高演算チップの開発、量産出荷の拡大、パートナー網の構築に充てるとしている。第1弾製品の光至R1は汎用プログラマブル構造のAI SoCだ。同社によると、R1を載せた演算プラットフォームは2025年にAgiBotのElf G2で量産に入り、2026年6月にはR1搭載のG2複数台が生産ラインで6日間の連続ライブ配信を行い、1万7625回の作業を成功率99.99%でこなした。8月の世界ロボット大会ではHuixi Embodiedシリーズを発表し、R1 Pro、R1 Max、RCM400とRCM500の各モジュールに加え、コンパイラからリアルタイム制御までのソフトウエア群をそろえた。
MEKAWIRE分析
中国の政府系資本がロボットの機体だけでなく演算層にも資金を投じ始めた。狙いは今後数年で中国製ヒューマノイドをエヌビディアのJetsonから自立させることにある。
この規模で資金を集めた中国のロボットチップ企業は5週間で2社目だ。D-Roboticsが9月17日に4億ドルのシリーズCを公表した。反論はソフトウエアにある。開発者の多くはすでにエヌビディアのIsaacとGR00Tで開発しており、1社のロボットで動くチップが他社に広がるとは限らない。輝羲が開示した量産顧客はAgiBotだけだ。日本の部品メーカーにとっては、中国製ヒューマノイドの制御基板が国産チップに置き換わると、減速機やセンサーの組み込み先で求められるソフト対応が変わる可能性がある。中国市場の全体像はMEKAWIREの中国ロボット市場解説を参照。
今後の注目点は、R1系列の2社目の量産ヒューマノイド顧客、R1 MaxとJetson Thorの性能比較データ、政府系ファンドの参加が上場申請につながるかどうかだ。
- D-Robotics(地瓜機器人)
- ロボット用演算チップと基盤
- シリーズC
- 4億ドル
- 2026年9月17日
- 輝羲智能
- 身体性AIチップ
- プレB+とシリーズB
- 25億元超(年内累計)
- 2026年10月21日
- Spirit AI
- 身体性AIモデルとロボット
- その他
- 2億8000万ドル
- 2026年2月25日
- LimX Dynamics
- ヒューマノイドと脚式ロボット
- プレIPO
- 2億ドル
- 2026年7月14日
- EngineAI
- ヒューマノイド
- シリーズB
- 2億ドル
- 2026年4月10日
開示額のみ。企業が示した通貨のまま記載し換算していない。輝羲は2ラウンド合計の年内累計額。
2026年10月24日時点
- プレB+とシリーズB、年内の株式調達が累計25億元超(ラウンド別内訳は非開示)
- 北京市人工知能産業投資基金
- 国家人工知能産業投資基金、北京市ロボット産業発展投資基金
- AI SoC「光至R1」、Huixi Embodiedシリーズ(R1 Pro、R1 Max、RCM400、RCM500)
- AgiBot Elf G2(2025年量産)
- 2026年6月、生産ラインで6日間連続ライブ配信し1万7625回作業、成功率99.99%
なぜ重要か
演算基盤は中国のヒューマノイドメーカーがなお米国企業に大きく依存する領域だ。AgiBotの量産採用を得た国産チップが十分な資金も得たことで、第2の調達先が生まれた。
競合分析
最も近い中国の競合はD-Robotics(2026年9月にシリーズC 4億ドル)。中国以外ではエヌビディアのJetson ThorとIsaacが標準。韓国ではMobilintが政府事業でヒューマノイド向けオンデバイスNPUを開発している。
企業価値の背景
企業価値は非開示。25億元は2ラウンド合計の年内累計額。
サプライチェーンへの影響
国産SoCは高性能アクセラレーターの輸出規制リスクを下げるが、製造プロセスとファウンドリーは開示されていない。
今後の注目点
2社目の量産顧客、R1 ProとR1 Maxの性能データ、香港または上海での上場申請。
アナリストの見方
確信度は中程度。政府系ファンドの主導は政策上の優先度を示すが、AgiBot以外への広がりは開示資料では確認できない。
問うべき論点
AgiBot以外にR1系列を採用するヒューマノイドメーカーはどこか。25億元のうち政府系ファンドの比率は。R1 Maxの製造プロセスは。
