中国ロボット市場2026解説:産業用ロボット35万4000台設置で世界の59%、国産ブランド55%、資金は上場で調達
国際ロボット連盟(IFR)によると、中国は2025年に産業用ロボット35万4000台を設置し、世界の59%、日本の約9.8倍を占めた。うち55%を中国ブランドが供給した。MEKAWIREの2026年資金調達データでは中国の25件のうち9件が上場で、金額を開示したのは5件にとどまり、中国はベンチャー投資より株式市場でロボット産業に資金を供給する市場であることが分かる。
国際ロボット連盟(IFR)は9月24日に公表した「ワールドロボティクス2026」で、中国が2025年に産業用ロボット35万4000台を設置したと発表した。前年比20%増で、世界の設置台数の59%に当たる。2位の米国(3万8500台)の約9.2倍、19%減の3万6219台で3位に後退した日本の約9.8倍である。このうち19万5000台、55%を中国ブランドが供給した。
中国のロボット市場規模を調べる読者が求めるのはこの数字だ。MEKAWIREは市場調査会社の推計ではなく、IFRの国別統計と企業開示という一次資料だけを使う。より重要なのは、数字がどのような市場を示しているかだ。設置統計からは見えない答えを当社のデータベースが示す。中国はロボット産業の資金を株式市場で調達している。
35万4000台の行き先
IFRによると最大の需要先は電気電子で9万6400台(16%増、構成比27%)。自動車は過去最高の7万8900台(38%増)、金属機械は7万8700台(44%増)だった。新規業種の開拓は不安定で、2024年に86%増えた食品飲料は2025年に37%減り、繊維衣料は92%急減した。IFRは労働力不足と第15次5カ年計画(2026〜2030年)のロボット目標を根拠に、2029年まで年平均5〜10%の成長を見込む。
- 電気電子
- 96,400
- +16%
- 自動車
- 78,900
- +38%
- 金属機械
- 78,700
- +44%
- 食品飲料
- 非開示
- -37%
- 繊維、皮革、衣料
- 非開示
- -92%
- 合計
- 354,000
- +20%
出典:IFRワールドロボティクス2026中国発表(2026年9月24日)。
2026年9月24日時点
国産ブランドが先行、ただし2025年は外資が速く伸びた
中国メーカーの設置は15%増、外国ブランドは27%増で、国産シェアは2024年の57%から55%に下がった。IFRの伸び率から逆算すると、国産は約2万5000台、外資は約3万4000台増えた。算式は2024年国産 = 19万5000 / 1.15、2024年外資 = 15万9000 / 1.27で、四捨五入された公表値からの近似値である。日本と欧州の6軸ロボットが強い自動車と機械の需要が急増したことが最も有力な理由とみられるが、IFRは業種別の供給者シェアを開示していない。ファナック、安川電機、川崎重工業にとって、中国の自動車投資が外資回帰の追い風になった可能性がある。
MEKAWIRE分析
中国はどの国も及ばない規模でロボットを作り、買うが、産業資金は上場で賄っており、そのため未上場の企業価値は米国よりはるかに見えにくい。
MEKAWIREの2026年データベース(10月17日時点)にある104件の資金調達のうち25件が中国だ。うち9件が上場で、上海科創板のユニツリーと、香港または本土のエストン、ホアヤン、ロカエ、メックマインド、エクセランド、ダイレクトドライブテック、キャムセンス、エッジメディカルである。金額を開示した中国案件は5件、計12億8000万ドルで、D-Roboticsの4億ドルのシリーズCとSpirit AIの2億8000万ドルが大きい。米国は47件中38件が金額を開示し、計96億2940万ドルだった。
- 資金調達件数
- 25
- 47
- 金額開示件数
- 5(20%)
- 38(81%)
- 開示額、百万ドル
- 1,280.0
- 9,629.4
- 世界の開示額(117億8880万ドル)に占める比率
- 10.9%
- 81.7%
- うち上場
- 9
- 該当なし
- 2025年産業用ロボット設置(IFR)
- 354,000
- 38,500
MEKAWIREデータベース、2026年10月17日時点、開示値のみ。比率 = 国別開示額 / 世界開示額。
2026年10月17日時点
開示額の合計は中国を大きく過小評価する。ベンチャー投資額だけを見れば中国は小さく見えるが、工場では米国1台に対し9台のロボットを設置している。
最も強い反論は、違いは資金調達ではなく開示慣行だというものだ。中国の未上場投資は「数億元」といった幅で伝えられることが多く、MEKAWIREはこれを数値として記録しない。その通りだが、それこそが論点を補強する。中国ロボット産業の信頼できる公開価格シグナルは株式市場であり、いまはユニツリーと香港18C上場企業が価値を決めている。
見方を変える条件は、中国のヒューマノイド企業がリード投資家と金額を開示した大型の未上場調達を相次いで行うこと、あるいは香港のロボット上場が鈍ることだ。注目点は2027年半ばのIFR 2026年速報値、香港18Cの新規申請、自動車投資が平常化した後に国産シェアが57%を回復するかどうかである。
- 産業用ロボット35万4000台、20%増、世界の59%(IFR)
- 米国3万8500台の約9.2倍、日本3万6219台の約9.8倍
- 19万5000台、シェア55%(2024年57%)、外資は27%増
- 電気電子9万6400台、自動車7万8900台、金属機械7万8700台
- IFRは2029年まで年平均5〜10%成長を予想
- 2026年104件中、中国25件、上場9件、金額開示5件で計12億8000万ドル
なぜ重要か
新規の産業用ロボット5台のうち3台が中国の工場に入る。日本のロボットメーカーと部品メーカーにとって、中国は最大の輸出先であり、最も手ごわい競合の本拠地でもある。
資金調達の構造も重要で、中国ロボット企業の価値評価は取引所の開示資料から始める必要がある。
競合分析
国産メーカーが設置の55%を占め、2025年は自動車と機械の需要急増で外資がシェアを戻した。ヒューマノイドではユニツリー、UBTech、AgiBot、産業用アームではエストン、ロカエ、Dobotが代表格だ。日本勢はファナック、安川電機、川崎重工業が外資の中核とみられるが、IFRは社名を挙げていない。
企業価値の背景
価格シグナルは株式市場が出す。ユニツリーの科創板上場とエクセランド、ダイレクトドライブテックの香港18C上場が基準倍率を作った。未上場は25件中5件しか金額を開示していない。
サプライチェーンへの影響
中国は最大の買い手であり、自給率を高める生産国でもある。2024年以降は国産ブランドが設置の半分を超えた。減速機、サーボモーター、制御装置では外資が地位を保つが、第15次5カ年計画の技術自立方針は代替の継続を示す。ハーモニックドライブシステムズやナブテスコにとっては代替圧力が続く。
今後の注目点
2027年半ばのIFR 2026年速報値、第4四半期の香港18Cロボット上場申請、国産シェアの57%回復、中国ヒューマノイド企業の金額開示を伴う未上場調達。
アナリストの見方
設置台数の優位は構造的で、資金調達は株式市場中心、政策主導、未上場市場は不透明とみる。IFRの数値への確信度は高く、資金比較の確信度は中程度。
問うべき論点
外資27%増を牽引した業種はどこか。35万4000台のうち協働ロボットは何台か。繊維と食品の急減は2026年に反転するか。2025年の中国ヒューマノイドの実際の出荷台数は。