ハンドカメラの能動知覚でUR10移動マニピュレータが雑然とした環境の9周すべて完走、従来手法は最大6周(トロント大、エプソンカナダ、ミュンヘン工科大)
計画経路上の死角や動いた物体にハンドカメラを向ける移動マニピュレータが、雑然とした屋内での試験9周をすべて衝突なく完走し、従来の視点戦略4種は3〜6周にとどまったと、トロント大学、エプソンカナダ、ミュンヘン工科大学、サイモンフレーザー大学のプレプリントが報告した。最も難しい場面では障害物ボクセルの再現率が73.0%と、従来手法の約31%を大きく上回った。
移動マニピュレータが走行中にアームのカメラで、現在の経路を最も危うくする地図の誤りを狙って見ることで、雑然として少しずつ変わる空間を安全に移動できるか。
倉庫や工場、オフィスはロボットが再訪するたびに箱が動いたり柱が現れたりと変わる。ナビゲーションは地図が静的だと仮定することが多く、視野の狭い車体カメラは死角の向こうの障害物に近づくまで気づかない。その結果、衝突や停止、不要な再計画が起きる。
ハンドカメラの向きを固定する、経路の先を見る、ランダムに見る、あるいは経路に関係なく地図の情報量だけを最大化する次善視点(NBV)計画を使う。物体単位で変化を扱う地図技術はあるが、視点制御と結びつく例は少ない。
確率的な次善視点の目的関数が、地図の不確かさを経路からの距離と物体が動いた可能性で重み付けする(タスク依存の地図エントロピー)。この視点目標を、走行を知覚より優先する階層タスク型モデル予測制御に組み込み、アームの冗長自由度でカメラを向けつつ車体の追従を損なわない。衝突回避はロボットを覆う球に制御バリア関数の制約を課す。ハードはClearpathのRidgeback台車にユニバーサルロボットのUR10を載せ、OrbbecのFemto Bolt RGB-Dカメラ2台を備え、搭載ノートPCで計算する。
3場面で各3周、計9周の連続走行で提案手法は100%を完走した。経路先読みは66.7%、固定、NBV-Map、ランダムはいずれも33.3%。易しい場面では適合率87.4%、再現率70.9%、誤検出率1.7%と最良だった。L字壁の場面の再現率は73.0%で、従来手法の28.4〜31.2%を大きく上回り、従来手法はいずれも3回衝突した。オフィス場面の再現率は70.0%で、最良の従来手法は58.3%。一方、難しい場面では適合率が下がり、誤検出率は8.4%と8.6%に上がった。
プレプリントである。実機評価は屋内3場面、手法ごと9周と小規模で、衝突すると地図をリセットした。難しい場面の適合率低下は自己位置推定のずれとセンサーノイズによると著者は説明する。場面変化への対応は制御されたシミュレーションとデモ中心で、大規模な計測はない。一般的なAMRにはないカメラ付きアームが必要となる。
物流や工場向けの移動マニピュレータを手がけるメーカーや、Orbbecのようなカメラ供給企業に関係が深い。エプソンの参加は産業界の関心を示す。AMRに協働ロボットのアームを載せる構成は日本の現場でも広がっており、人と物が行き交いレイアウトが変わる通路の安全機能として、1〜2年のうちに検討の対象になりうる。
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