MEKAWIRE
中級arXiv

浙江大のTorch-Hand、21自由度のリンク駆動ハンドで40kgを持ち上げ繰り返し精度0.03mm

Jihao Li, Jianguo Wang, Haotian Guo, Yanzhe Wang, Guodong Lu, Huixu DongZhejiang University (Grasp Lab, School of Mechanical Engineering; Robotics Institute, Ningbo)
30秒で読む

浙江大のプレプリント。全リンク駆動の21自由度ハンドが40kgを保持し、繰り返し精度0.031mm以内、33種の把持をすべて再現。

研究課題

腱や柔軟アクチュエータを使わずに、5自由度の親指を含む人の手の関節構造をそのまま再現しつつ、力と精度と制御のしやすさを両立できるか。

問題

ヒューマノイドハンドは何かを得るために別の性能を捨てがちだ。関節モーターや歯車式は精密だが大きく持続荷重に弱い。腱駆動や空圧式は小型で柔らかいが、伸びや関節の意図しない連動があり出力も小さい。人に似た手は重い工具を持てず、力のある手は親指の対向動作が乏しい。

従来の手法

論文の比較表によれば、研究用に普及するLEAP Handは可搬約2kg、指先力19.5N。リンク式のILDA Handは15自由度で18kg、34N。腱駆動や空圧式の多くは6kg、30N未満にとどまる。

新しい手法

Torch-Handは親指5自由度(3軸のCM関節を含む)と他の指各4自由度で人の手の関節階層を再現した。アクチュエータはすべて掌に収め、ねじ駆動スライダーと剛体リンクで指を動かす。シリアルロボットのように配置し、モーター1個が関節運動1つに対応する。関節は機構的に分離しているが、ソフトウェアで複数関節を協調させて手全体の姿勢を作れ、ねじリンクの自己ロックで把持後の荷重を保持する。

結果

繰り返し位置誤差は4指が平均0.0111mm(±0.026mm以内)、親指が0.0115mm(±0.031mm以内)。2つの屈曲関節を同時駆動した指先力は人差し指60.72N、中指52.65N、薬指61.51N、小指64.69N。手全体の握力は100N超で、アルミ缶をつぶし40kgのダンベルを持ち上げた。カパンジーテストの全位置に到達し、標準把持33種を造形物と実物の両方で再現。0.5mmの針穴に0.35mmのナイロン糸を通す作業、ピペットでの希釈、口紅の回転、釘抜きも実演した。

限界

プレプリントであり、ハードウエア基盤の発表にとどまる。作業は実演で、反復試験の成功率や学習済み方策、自律動作は示されていない。触覚や力センサーも未搭載。著者は長期耐久性や疲労、動的な工具使用での信頼性評価が残るとしており、ヒューマノイドに2本搭載できるかを左右する重量や指の速度、コストも記載がない。

産業への影響

ハンドは中国のヒューマノイド各社が最も激しく競う部品で、[シャオミ](/companies/xiaomi)も10月27日に触覚点約1500の21自由度ハンドを公表した。Torch-Handは同じ自由度で全リンク駆動により40kgを扱えることを示し、腱の伸びが課題となる工場の工具作業に向く。ねじや減速機を供給する日本の部品メーカーにとっても需要の手掛かりになり得るが、商用化は重量やコスト、耐久データ次第で2〜3年の時間軸で見る必要がある。