AutoRSR:実作業空間のスキャンからシミュレーション学習データを自動生成するReal-to-Sim-to-Real手法
ロボット学習には通常100件以上の人手教示が要る。このプレプリントはスマホスキャンで作業空間をシミュレーションに再構成し1,000件を自動生成、それだけで学習した方策が3課題中2課題で教示150件と同等の成功率を出した。
スキャンした実作業空間を、ほぼ人手なしで実寸に合ったシミュレーションと大規模な操作データセットに変換でき、そのデータで学習した方策が実機で機能するか。
遠隔操作による教示は質が高いが、オペレーターとロボットの時間を要する。シミュレーションは1件当たりの費用は安いが、実際のセルをシミュレーションに移すには、物体モデルの切り出し、メッシュの整理、ロボット基準座標への校正、軌道作成に人手がかかる。
Real2Render2RealやGASEなどのReal-to-Sim手法はガウシアンスプラッティングなどで場面を再構成するが、著者の比較によれば分割、シミュレーションへの資産登録、ロボットとの位置合わせに依然人手が要る。
AutoRSRはスマホのスキャンと、ロボットの状態から姿勢が分かる手首カメラ2台を組み合わせ、自由語彙のテキスト問い合わせで物体を一つずつ切り出す。再構成結果を実寸でロボット基準座標に自動で位置合わせし、課題ごとに短い参照動作を一つシミュレーションで再生、軌道補間と視覚的ドメインランダム化で課題当たり1,000件に増やす。
PiperXアームの3課題(ボウルへの注ぎ、アヒルの人形を箱に載せる、ノートPCを閉じる、各15試行)で、生成データ1,000件で微調整したpi0.5の成功率は73.3%、80%、86.7%。遠隔操作教示150件では73.3%、86.7%、86.7%だった。両方を併用すると注ぎ課題は86.7%に上がった。場面とロボットの位置合わせ誤差は元の再構成の3.81〜8.62cmから0.61〜0.91cmに縮小。1,000件の生成はGPU1枚で25〜28分、教示150件の収集はオペレーター時間52〜73分で、事前のスキャンと処理は約35分だった。
プレプリントである。各条件の実機試行は15回のみで、6.7ポイント差は1回分に相当する。要旨は人手時間を1桁減らしたとするが、表では生成時間は約2.2〜2.6倍速い程度で、大きな削減はオペレーターの関与がほぼ不要な点による。課題は単純な剛体の移動のみで、柔軟物、精密挿入、多工程作業は未検証。軌道拡張を外すと成功率は13.3%に落ち、この工程への依存が大きい。
操作方策の学習で最大のコストはデータ収集である。スマホスキャンから1,000件のデータまでの流れが成熟すれば、SIerが新しい顧客セルに方策を合わせる作業は数日の遠隔操作から半日に縮む可能性がある。人手不足で教示工数を減らしたい国内製造業にとって、まずは単純なピッキングや扉開閉のような作業から、12〜18カ月で自動位置合わせ型のツールが製品化されるとみられる。
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