レインボーロボティクスとは:サムスン35%出資のロボット企業、上期売上の4割が移動型ヒューマノイド
レインボーロボティクスはヒューマノイドHUBOを開発したKAISTの研究者が2011年に設立した韓国企業で、2024年末からサムスン電子が35%を保有する筆頭株主である。半期報告書によると、2026年上期はRB-Y1など移動型ヒューマノイドの売上高が86億5000万ウォンと連結売上高213億8000万ウォンの40.5%を占め、最大の製品群となった。
営業赤字は拡大し、株価はサムスンの取得価格の6.5〜12.9倍で推移した。
レインボーロボティクスは、韓国科学技術院(KAIST)ヒューマノイド研究センター出身の研究者が2011年に創業したロボットメーカーだ。2024年12月31日にサムスン電子がコールオプションを行使して持ち株比率を35.00%に引き上げ、筆頭株主となった。同社がいま何で稼いでいるかは、8月14日に韓国の電子公示システム(DART)へ提出した半期報告書に示されている。2026年上期、車輪付き双腕ロボットRB-Y1などの移動型ヒューマノイドの売上高は86億5000万ウォンで、連結売上高213億8000万ウォンの40.5%を占め、協働ロボットの45億ウォンを上回った。
ヒューマノイドの売上高を区分して開示したのは今回が初めてだ。同社は今も「ヒューマノイドの技術を持つ協働ロボット企業」と紹介されることが多いが、開示内容は大学や政府系研究機関に研究用プラットフォームを販売する企業の姿を示している。株価はそのいずれよりも大きなものを織り込んでいる。本稿では開示数値をMEKAWIREのデータベースにある競合と比べる。
韓国の協働ロボット大手より速く成長し、売上構成が変わった
報告書によると、連結売上高は2024年の193億5000万ウォンから2025年は341億2000万ウォンへ76.4%増え、2026年上期だけで2025年通期の62.6%に達した。韓国の協働ロボット大手、斗山ロボティクスは2025年の売上高を前年比29.6%減の329億8000万ウォンと開示しており、開示ベースではレインボーロボティクスが3.5%上回った。
- 売上高
- 193.5
- 341.2
- 213.8
- 営業利益
- -29.8
- -24.8
- -35.9
- 純利益
- 21.4
- 14.2
- -9.7
- 輸出
- 30.1
- 62.4
- 64.6
- 研究開発費
- 55.1
- 84.7
- 63.7
- 棚卸資産(期末)
- 71.6
- 155.2
- 231.8
DART半期報告書(2026年8月14日提出、受付番号20260814002901)の連結ベース。2025年成長率 = 341.2 / 193.5 - 1 = 76.4%。
2026年10月17日時点
変化をけん引したのは輸出だ。上期の輸出は64億6000万ウォンで2025年通期の103%に達し、輸出比率は18.3%から30.2%に上昇した。製品とは別に計上する役務売上高は上期72億4000万ウォンで、2024年の8億1000万ウォン、2025年の90億9000万ウォンから大きく増えた。同社は協働ロボットのシステムインテグレーター38社、天体望遠鏡用マウントの代理店を16カ国に40社持つとしている。マウント事業はロボット関節と同じ波動歯車減速機を使う。
成長にはコストが伴った。
ヒューマノイドは研究機関向け、赤字は拡大
報告書は移動型ヒューマノイドを、片腕7自由度の双腕を車輪付き台車に載せた研究、実証用プラットフォームと説明する。主に大学や政府系研究所、公共機関に直販し、国家研究開発プロジェクトで使われるという。製品ページによるとRB-Y1は20自由度、腕の可搬重量3kgで、2024年の予約開始時の価格は8万ドルだった。農機メーカーの大東は8月13日、レインボーロボティクスの双腕上半身を自社の自律走行台車に載せた温室用ロボット「AGROID」を共同開発すると発表した。
- 移動型ヒューマノイド(RB-Y1系)
- 86.5
- 40.5%
- その他ロボット(四足歩行、AMRなど)
- 66.2
- 31.0%
- 協働ロボット
- 45.0
- 21.1%
- その他(精密マウント含む)
- 16.0
- 7.5%
- 合計
- 213.8
- 100%
半期報告書の主要売上表による。2025年は製品群別の開示なし。
2026年10月17日時点
上期の営業損失は35億9000万ウォンで営業利益率はマイナス16.8%と、2025年通期のマイナス7.3%から悪化した。研究開発費は63億7000万ウォンで売上高の30%、うち39.8%を政府補助金が賄った。報告書には政府プロジェクト10件が並び、産業通商部の器用な操作と俊敏な歩行のヒューマノイド(2027年12月まで)、AI基盤モデルによるディスプレー工程向けヒューマノイド(2028年12月まで)、保健福祉部のVLAモデルによるヒューマノイド型手術補助ロボット(2029年まで)を含む。棚卸資産は6月末に231億8000万ウォンと、2025年末の155億2000万ウォン、1年前の71億6000万ウォンから増えた。訂正公示によると、294億7000万ウォンを投じた新本社と製造施設は3月27日に完成した。
事業の数字だけを見れば、小規模で成長が速く、まだ赤字のハードウエア企業である。株式市場の見方は異なる。
MEKAWIRE分析:株価が映すのは売上高ではなくサムスンのロボット戦略
レインボーロボティクスはMEKAWIREのデータで、ヒューマノイド型ロボットの売上高をこの規模で開示する唯一の韓国上場企業になったが、企業価値は売上高をけん引する研究機関向け販売ではなく、サムスンのロボット基盤という立場に支えられている。
サムスンはオプション行使で393万5814株を2674億6000万ウォンで取得した。1株約6万7956ウォンである。報告書によると2026年1〜6月の株価は44万4000〜88万ウォンで、サムスンの取得価格の6.5〜12.9倍だった。発行済み株式1939万9858株を掛けると時価総額は約8兆6000億〜17兆1000億ウォン、上期売上高を2倍した年換算427億5000万ウォンの約200〜400倍になる(方法:発行済み株式数×報告書の月間安値と高値。年換算は上期売上高×2で予想ではない)。
- レインボーロボティクス(韓国)
- 341億2000万ウォン(2025年)、213億8000万ウォン(2026年上期)
- +76.4%
- 損失24億8000万ウォン(2025年)
- DART
- 斗山ロボティクス(韓国)
- 329億8000万ウォン(2025年)
- -29.6%
- 損失594億7000万ウォン(2025年)
- DART
- 越疆(中国)
- 4億9220万元(2025年)
- +31.7%
- 記載なし
- 香港取引所
- テラダイン ロボティクス(米国、デンマーク)
- 1億ドル(2026年4〜6月期)
- +33%
- 記載なし
- 会社発表
MEKAWIRE保存の開示値、通貨換算なし。時価総額8兆6000億〜17兆1000億ウォン = 1939万9858株×上期の月間安値と高値。
2026年10月17日時点
競合と比べると理由が見える。斗山ロボティクスは同規模の売上高で2025年に594億7000万ウォンの営業損失を出しており、レインボーロボティクスははるかに身軽だ。越疆(Dobot)は2025年に31.7%成長し、ユニバーサルロボットを傘下に持つテラダインのロボット部門は2026年4〜6月期に1億ドルを売り上げた。いずれもレインボーロボティクスの売上高倍率を説明しない。説明するのはサムスンの出資、共同創業者の呉俊鎬氏が率いるサムスンの未来ロボット推進団、そしてサムスンのヒューマノイド構想のオプション価値だ。日本の部品メーカーにとっては、同社が減速機やアクチュエーター、制御器を内製している点が、ハーモニックドライブシステムズなど外部調達先の取引機会を限る要因になる。
強気シナリオでは、汎用ロボット市場がユニツリーのG1のように研究用プラットフォームから立ち上がり、部品を内製する同社が基盤モデルの成熟に合わせてサムスン製品の量産を早める。弱気シナリオでは、研究機関の需要は政府予算に左右されて不安定で、売上高の4割が機関向けの単一製品に集中し、サムスンが旗艦ヒューマノイドを社内事業部で作り、同社は部品と研究の供給元にとどまる。我々の見方に対する最も強い反論は、輸出の急増と役務売上高がサムスンと無関係な商業需要を示している点だ。
見方を変える条件は、同社を製造元と明記したサムスンブランドのヒューマノイド、研究機関ではなく工場や物流顧客からの受注、営業赤字が3半期連続で拡大する場合である。注目点は11月中旬までに出る四半期報告書、2027年12月終了予定の産業通商部ヒューマノイド事業の進捗、サムスン電子との関連当事者取引の開示だ。
- KAIST発のロボット企業、サムスン電子が35%保有、移動型ヒューマノイドが最大の売上源
- 213億8000万ウォン、2025年通期(341億2000万ウォン、76.4%増)の62.6%
- 86億5000万ウォン、上期売上高の40.5%
- 上期35億9000万ウォン(利益率マイナス16.8%)
- 63億7000万ウォン、売上高の30%、39.8%は政府補助金
- 35.00%、取得単価は1株約6万7956ウォン
- 44万4000〜88万ウォン
