ニューロメカとは 上半期の純損失が昨年通年を上回る、ポスコと中国合弁、ロボットファウンドリーに賭ける韓国協働ロボット企業
ニューロメカは2013年設立、韓国KOSDAQ上場の協働ロボットメーカーで、Indy協働ロボットやデルタロボット、ロボット部品を手がける。8月更新のIRブックによると、2026年上半期の連結売上高は58億1400万ウォン、純損失は302億7000万ウォンで、昨年通年の損失の138%に達した。
増資資金で中国合弁、ロボット製造ファウンドリー、ポスコや国の案件を進めている。
ニューロメカは2026年上半期に302億7000万ウォンの純損失を計上した。2025年通年の219億9100万ウォンを38%上回り、同期間の売上高は58億1400万ウォンにとどまる。ソウルの協働ロボットメーカーが8月14日に更新したIRブックに載った数字で、当初約1500億ウォン規模とした増資を終えた数週間後だった。同じ資料には中国合弁、ロボットの「ファウンドリー」、ポスコホールディングスとDNソリューションズの戦略投資、国の溶接プロジェクトが並ぶ。
計画と足元の売上高との落差が、ニューロメカの現在地を示す。本稿では同社が何を作り、数字が何を語り、韓国の上場同業と比べてどこにいるのか、戦略が実を結ぶには何が要るのかを整理する。
協働ロボットに部品とデルタロボット
ニューロメカは2013年2月に設立され、2022年11月にKOSDAQに上場した。主力は自社で設計、製造するIndy協働ロボットで、衝突検知や手で動かして教える直接教示、タブレット式ティーチングペンダントを売りにする。高速ピッキング用の4軸デルタロボットLASERシリーズ、移動ロボット、画像処理ソフトも手がけ、IRブックではモーター、減速機、アクチュエーターを部品事業として示す。2021年からサムスンディスプレーにFPD用ロボットを納め、顧客名を明かさない92億5000万ウォンの人工関節手術ロボット供給契約もある。
売上は減り、費用は残った
2025年の連結売上高は25.0%減の189億5400万ウォンだった。売上総利益率は16.4%から18.3%、2026年上半期は21.9%に改善したが、上半期の販売管理費108億5300万ウォンは売上高の1.87倍に達した。
- 売上高
- 252.7
- 189.5
- 58.1
- 売上総利益率
- 16.4%
- 18.3%
- 21.9%
- 営業損失
- 190.2
- 148.6
- 95.8
- 金融費用
- 52.5
- 115.8
- 223.3
- 純損失
- 167.6
- 219.9
- 302.7
- 自己資本
- 108.7
- 138.9
- 371.1
- 負債比率
- 776%
- 558%
- 148%
2026年8月14日更新のIRブック掲載の連結要約財務諸表(単位100万ウォン)を億ウォンに換算。売上総利益率 = 売上総利益 / 売上高、負債比率 = 負債合計 / 自己資本。
2026年10月18日時点
より大きな穴は営業外にあった。上半期の金融費用223億2700万ウォンは営業損失の2.3倍で、95億ウォン台の営業損失を302億ウォン台の純損失に膨らませた。内訳は開示されていない。その他払込資本が519億ウォン増えたため自己資本は371億800万ウォンに増え、負債比率は148%に下がったが、6月末の流動負債451億4800万ウォンは流動資産329億300万ウォンを上回ったままだ。
韓国の上場ロボット4社で売上高は最小
- ロボティズ
- 389.4
- +29.6%
- +33.6
- +8.6%
- レインボーロボティクス
- 341.2
- +76.4%
- -24.8
- -7.3%
- 斗山ロボティクス
- 329.8
- -29.6%
- -594.7
- -180.3%
- ニューロメカ
- 189.5
- -25.0%
- -148.6
- -78.4%
各社の開示とIR資料に基づく公表値。MEKAWIREの3月26日、10月18日の記事で検証済み。
2026年10月18日時点
売上高に対する営業損失の比率78.4%は斗山とレインボーの間にあるが、斗山のようなグループの財務力も、サムスン電子を筆頭株主に持つレインボーのような後ろ盾もない。そこで同社は提携先に頼る。ポスコとは2024年に浦項工場で共同研究センターを開き、2025年7月に30億ウォンの供給契約を結んだ。中国ではIRブックが世界首位の制御基板メーカーと紹介するE-ONGと親会社LTOMと組み、2026年に造船向け溶接システムとヒューマノイド試作機、2027年に損益分岐、2028年以降に上海科創板への上場準備を描く。
MEKAWIRE分析
ニューロメカは部品メーカー並みの売上高でプラットフォーム企業の物語を売っており、2026年の増資はポスコや中国合弁が受注に変わるかを証明するための約2年の時間を買ったものだ。
日本の読者にとっての示唆は、減速機やモーターを内製化しようとする韓国中堅の動きにある。部品事業が量産規模に届けば、ハーモニックドライブシステムズやナブテスコなど日本製減速機への依存を下げる試みになるが、IRブックに部品事業の売上高は示されていない。最も強い反論は、協働ロボットの売上高は案件次第で振れ、ポスコや造船所の大型案件一つで1年で倍増し得ること、売上総利益率が3年続けて改善していることだ。強気シナリオでは中国合弁が2026年に溶接セルを出荷し2027年の目標を達成する。弱気シナリオでは金融費用が営業の成果を食い続け、売上高が回復する前に再増資で株主価値が薄まる。
見るべき信号は三つある。11月中旬までの第3四半期報告書で増資後に売上高が持ち直すか、年内に中国合弁の設立開示が出るか、8月に始まった溶接プロジェクトが最初の節目を越えるかだ。
- Neuromeka was founded on 14 February 2013 in Seoul, listed on KOSDAQ in November 2022 and makes Indy cobots, LASER delta robots, mobile robots, vision software and robot components such as motors, reducers and actuators.
- Consolidated revenue fell 25.0% to KRW 18.95bn in 2025 from KRW 25.27bn in 2024, with an operating loss of KRW 14.86bn, according to the IR Book updated on 14 August 2026.
- First-half 2026 revenue was KRW 5.81bn, the operating loss KRW 9.58bn and the net loss KRW 30.27bn, after KRW 22.33bn of financial expenses.
- Total equity rose from KRW 13.89bn at end-2025 to KRW 37.11bn at end-June 2026, cutting liabilities to equity from 558% to 148%.
- The board approved a rights offering on 24 April 2026, first sized at about KRW 150bn, with a 0.5-for-1 bonus issue; the final price was KRW 24,450 a share and 75.8% of the offering was taken up by existing holders.
- The IR Book lists POSCO Holdings' KRW 10bn strategic investment (December 2024), a KRW 3bn POSCO supply contract (July 2025), a KRW 5bn strategic investment from DN Solutions and a KRW 9.25bn supply contract for an artificial-joint surgical robot.
- A planned China joint venture with LTOM and E-ONG has capital of CNY 42.857m (about KRW 8.57bn), rising to about KRW 30bn cumulatively, and targets break-even on KRW 17bn of sales in 2027 and STAR Market listing preparations from 2028.
- Neuromeka leads a KRW 17.5bn Ministry of Science and ICT project on AI-driven shipyard welding running from August 2026 to December 2030, KRW 10.5bn of it government funded.
なぜ重要か
ニューロメカは斗山、サムスン系以外で韓国協働ロボットに最も純粋に投資できる上場銘柄で、中国製アームが価格を押し下げるとき中堅メーカーに何が起きるかを数字で示す。
日本の協働ロボット各社や部品メーカーにとっても、韓国中堅が中国生産と国家案件で生き残りを図る動きは競争環境を読む手がかりになる。
競合分析
ロボティズはアクチュエーター輸出で2025年に33億6000万ウォンの営業利益を上げ、レインボーロボティクスは売上高を76.4%伸ばした。斗山ロボティクスは594億7200万ウォンの営業損失だった。日本勢ではファナックのCRXが協働ロボットで存在感を持つ。
企業価値の背景
MEKAWIREはニューロメカの時価総額を検証済みの数値として持たないため、倍率は示さない。直近で新たな資金が入った公表価格は増資の発行価格2万4450ウォンである。
サプライチェーンへの影響
アームと制御器を自社設計し、モーター、減速機、アクチュエーターを部品事業として展開する。中国合弁が設立されれば部品と溶接セルを中国で現地生産する。
リスクは顧客集中で、IRブックが名指しする大口顧客はポスコグループとサムスンディスプレーである。
今後の注目点
1) 第3四半期報告書(11月中旬まで):増資後の売上高と金融費用。2) 中国合弁の設立と出資比率、2026年の溶接セル初出荷。3) 溶接プロジェクトの節目とポスコからの追加受注。
アナリストの見方
判断:戦略は売上高ではなく増資と提携資金で回っており、今後2年が分かれ目になる。確度は中程度。受注残、部門別売上高、金融費用の内訳が開示されていない。
問うべき論点
上半期の金融費用223億ウォンの中身は何か、今後も続くのか。中国合弁の出資比率と連結の有無は。ファウンドリーの最初の外部顧客はいつ現れるのか。
