2026年のロボットIPO:上海と香港は成長に値を付け、韓国は売上高2倍の黒字ソフト企業を上場させる
MEKAWIREが記録した今年のロボット関連上場9件をみると、市場ごとの値付けはまったく異なる。宇樹科技(ユニツリー)は上海で利益の219.23倍で公募し、香港の個人向け申込は最大3,835倍に達した。一方、韓国の次の上場案件インテリビックスは売上高の1.8〜2.2倍で公募する黒字の映像解析企業で、ロボットへの配分は25億ウォンにとどまる。
今年もっとも割安なロボット上場は来週かもしれない。四足歩行の巡回ロボット構想を持つソウルの映像解析企業インテリビックスは、14日の投資説明書で前年売上高の1.8〜2.2倍の水準で株式を公募する。2カ月前、ユニツリーは上海で2025年利益の219.23倍で株式を売り出し、9月の香港ではロボット部品企業の新規公開に3,500倍を超える個人の申込が集まった。この差は企業そのものより、各市場が何を買いたいかを映している。
MEKAWIREは8〜10月にロボットまたはロボット関連の上場と上場申請9件を追跡した。本稿はそれらを並べ、投資家が支払った価格を計算し、この分断が上場を目指すロボット企業に何を意味するかを考える。
上海と香港はロボットを成長オプションとして売った
中国案件に共通するのは、足元の利益ではなく将来の出荷量で値付けした点だ。ユニツリーは上場書類で219.23倍を業界平均38.56倍と比べており、自業界に対し5.7倍のプレミアムとなる(219.23÷38.56)。梅卡曼德(メックマインド)は仮条件の上限で決まり、香港の個人向け申込は3,835.36倍。ロボット掃除機向けセンサーのCamsenseは3,546.91倍だった。9月の香港ロボット案件4件の調達額は、MEKAWIREが割当結果を合算すると30日で46億6,560万香港ドルになる。
- 2026-08-19
- ユニツリー
- 上海科創板
- 60億9,932万元
- 25年利益の219.23倍(業界38.56倍)
- 2026-09-01
- メックマインド
- 香港メインボード
- 23億5,340万香港ドル
- 仮条件上限、個人3,835.36倍
- 2026-09-09
- Excelland Robotics
- 香港
- 6億5,020万香港ドル
- 仮条件下限、個人140.02倍、海外0.99倍
- 2026-09-29
- Direct Drive Tech
- 香港
- 10億8,000万香港ドル
- 上位5社で売上の8割超
- 2026-09-30
- Camsense
- 香港
- 6億8,200万香港ドル
- 個人3,546.91倍
- 2026-09-30
- Amicro(珠海一微科技)
- 香港18C(審査通過後)
- 未定
- 25年売上高4億670万元、赤字1億5,510万元
- 2026-10-07
- FireFly Robotics
- ナスダック直接上場(S-1)
- 新株なし
- 26年上期売上高3,050万ドル
- 2026-10-14
- インテリビックス
- KOSDAQ一般
- 190億〜225億ウォン
- 25年売上高の1.8〜2.2倍
- 投票 2026-11-02
- アジリティロボティクス
- ナスダックSPAC
- 合併
- 25年売上高178万ドルで評価額25億ドル
MEKAWIRE記事に記録した上場書類と割当結果の開示値。インテリビックスとアジリティの倍率はMEKAWIRE算出(評価額÷25年売上高)。
2026年10月17日時点
例外も示唆に富む。Excelland Roboticsは仮条件の下限で決まり、個人向けは140.02倍だったが、海外機関投資家向けは0.99倍にとどまった。目論見書では2025年に売上高3億1,770万元に対し1億1,080万元の赤字だった。個人はテーマを追い、機関は赤字を見た。韓国の需要予測で価格を決めるのは機関であるだけに、この対比は重要だ。
韓国はすでに稼いでいる企業を上場させる
インテリビックスは利益要件のあるKOSDAQ一般上場を選び、25年は売上高466億ウォン、営業利益率10.47%だった。公募価格7,600〜9,000ウォンに公募後株式数11,335,408株を掛けると時価総額は861億〜1,020億ウォンで、25年営業利益の約18〜21倍となる。ロボット予算は25億ウォンで、新規事業資金の約5分の1だ。MEKAWIREの記録にある韓国の他の候補も似ている。ロボットハンドのテソロは、韓国ロボット新聞の報道(同社未確認)によればKB証券を主幹事に技術特例上場を準備しており、物流ロボットのツイニーは27年のKOSDAQ上場を控え、9月のプレIPOで評価額2,044億ウォン(報道ベース)を得た。
- インテリビックス
- AI映像解析、四足巡回ARGOS
- KOSDAQ一般(利益要件)
- 10月21〜22日に一般申込
- 仮条件で861億〜1,020億ウォン
- ツイニー
- 物流AMR
- KOSDAQ、27年目標
- 8〜9月にプレIPO第三者割当
- 投資後2,044億ウォン(報道)
- テソロ
- ロボットハンドとグリッパー
- 技術特例(報道)
- KB証券主幹事(報道)
- 非開示
- レインボーロボティクス
- モバイルヒューマノイド、協働ロボット
- KOSDAQ上場済み
- サムスン電子35.00%
- 上期株価で8兆6,000億〜17兆1,000億ウォン
ツイニーの評価額とテソロの情報は会社未確認の報道。
2026年10月17日時点
MEKAWIRE分析
韓国の発行市場はロボットを現金を生む事業の付加オプションとして評価し、上海、香港、ナスダックはロボット企業が約束する出荷量に値を付ける。韓国流の規律の代償は、希少な純粋ロボット銘柄が上場時ではなく上場後に買い上げられることだ。
後半の根拠はレインボーロボティクスである。MEKAWIREの17日付企業分析では、サムスン電子の持ち分35%と上期の株価レンジ44万4,000〜88万ウォンから算出した時価総額は8兆6,000億〜17兆1,000億ウォンで、上期年換算売上高の200〜400倍だった。韓国の投資家もロボット並みの倍率は払う。ただし財閥が後ろ盾の少数銘柄に、流通市場で払う。米国版はアジリティロボティクスで、ナスダックの合併上場は25年売上高178万ドルの企業を新規資金前で25億ドル、売上高の約1,400倍と評価した。日本ではロボット大手がすでに上場しており、新興の純粋ロボット企業の上場例は限られる点で、韓国と似た構図にある。
最も強い反論は比較が不公平だというものだ。インテリビックスはロボットメーカーではなくソフト企業であり、韓国にも赤字を許容する技術特例がある。どちらも正しい。しかし、まさにそこが要点だ。いま上場準備が整っている韓国のロボット関連企業は利益要件を満たすソフトと部品の会社であり、7月に1億500万ドルのシリーズAを調達したホリデーロボティクスのような最大級の民間調達を果たしたヒューマノイド企業には、MEKAWIREの記録上、上場日程がない。
見方を変える材料
強気シナリオは、インテリビックスが仮条件上限以上で決まり上場後に上昇する場合だ。利益を伴うフィジカルAIの物語に韓国の機関が値を付けるという合図となり、ツイニーとテソロの上場を早めうる。弱気シナリオは香港のExcellandのように下限で決まる場合で、韓国のロボット新興企業は公開市場ではなく政策資金や財閥の親会社に頼り続ける。
答えを出すのは三つの日付だ。21日の一般申込前に決まるインテリビックスの公募価格と22日の申込倍率、11月2日のアジリティの株主投票、そしてテソロが年内に韓国取引所へ上場予備審査を申請するかどうかである。
- 2026年8〜10月のロボット関連上場と申請9件(MEKAWIRE記録)
- 8月19日上海科創板、60億9,932万元調達、25年利益の219.23倍(業界38.56倍)
- メックマインド、Excelland、Direct Drive Tech、Camsenseの合計46億6,560万香港ドル
- メックマインド3,835.36倍、Camsense 3,546.91倍、Excelland 140.02倍(海外0.99倍)
- KOSDAQ一般上場、190億〜225億ウォン、25年売上高の1.8〜2.2倍、ロボット予算25億ウォン
- ナスダックSPAC、25年売上高178万ドルで評価額25億ドル、11月2日投票
- 倍率は開示資料からMEKAWIREが算出、為替換算はしていない
なぜ重要か
上場先がロボット企業の調達額と価格を決める。中国市場は出荷量の物語に高い倍率を与えて資本コストを下げ、韓国の需要予測は利益に報いる。日本の部品メーカーにとっては、資金を得た中国の部品企業との価格競争が27年に強まることを意味する。
企業価値の背景
インテリビックスは売上高1.8〜2.2倍、営業利益約18〜21倍、ユニツリーは利益の219.23倍、アジリティは25年売上高の約1,400倍、レインボーは上期年換算売上高の200〜400倍。指標が異なるため、それぞれ分母を明示した。
今後の注目点
21日までのインテリビックス公募価格と22日の申込倍率、11月2日のアジリティ投票、Amicroの上場日、テソロの年内予備審査申請。
アナリストの見方
論点:韓国は上場時にロボットを利益の付加要素とみなし、ロボット並みの倍率は上場後に払う。確信度は中程度。韓国の標本が少なく、インテリビックスが純粋なロボット企業ではないためだ。