記憶する双腕ロボット、UCLAのMem4Actが長い作業で成功率81.5%、pi0.5の約3倍
数分前に見たことを覚えておく必要がある作業で、映像の記録を丸ごと入れずに圧縮した記憶を使わせ、成功率を大きく高めたプレプリントである。既存のロボットAIモデルに追加する形のため、実務への応用余地が大きい。
視覚言語行動(VLA)方策は、覆われる前のブロックの色のように数分前に見た情報を、長くなり続ける映像履歴をモデルに入れずにどう覚えられるか。
多くのVLA方策は現在のカメラ画像だけを見て動く。長い作業では、次の動作を決める情報がとうに視界から消えていることが多い。履歴をすべて入れると増え続ける画像トークンを処理するため計算が膨らみ、混乱も起きうる。キーフレームの選択やトークンの削減、言語要約で縮めると、後で重要になる細部を失うおそれがある。
従来の記憶手法は過去フレームの原本、圧縮した視覚トークン、文章の要約を保存してきた(MemER、FrameSampやTokenDropなどのMME-VLA派生、Mem-0、NativeMEM、HAMLET)。作業が長くなるほど膨らむか、時間や意味、視覚の情報を失う危険があり、方策が与えられた記憶を実際に使うよう促す仕組みもなかった。
Mem4Actは作業中ずっと更新される512トークンの固定容量の潜在記憶を持つ。3層のエンコーダが過去のフレームを32、16、8の時間窓で粗いものから細かいものへまとめる。何を覚えるかは二つの学習信号が決める。言語モデルを通じて答える過去の出来事に関する問答と、視覚の細部を残すためのキーフレームの画像特徴の復元である。学習は記憶を先に行う。方策を固定したまま記憶を事前学習し、その後行動方策と一緒に10分の1の学習率で学習させる。著者はこの方法で方策の記憶への依存が高まると示した。
作業ごとに遠隔操作の教示70本で学習したYAM双腕ロボットで、Mem4Actはブロックを覆う、入れ替える、並べ替える、戻すの各作業で78%、70%、100%、78%、平均81.5%だった。MME-VLAは42.0%、pi0.5は28.0%、Mem-0は22.5%である。GPT-6 Astraは42.5%だったが、判断1回に約19秒、成功1回に17分かかり、Mem4Actの335ミリ秒と40秒とは大差がついた。シミュレーションではRoboMMEで49.88%(最良の比較手法は44.51%)、RMBenchで61.0%(NativeMEMは48.7%)と首位で、過去の場面を複数覚える必要がある作業では41.3%対14.8%だった。容量より構造が重要で、1,024トークンは512トークンを下回る42.75%だった。
プレプリントである。実機の作業はRMBenchを移したブロックパズルで、ロボット1機種でのみ試し、記憶に入るのは頭部カメラの履歴だけだ。同じGPUで判断1回に335ミリ秒かかり、pi0.5の131ミリ秒の約2.6倍遅い。RoboMMEの全体成功率は50%に届かず、空間の物体永続性の作業は31.5%でMemER(53.2%)を下回る。比較手法の一部は著者による再実装で、GPT-6 Astraは時間制限付きのゼロショット実行のため、学習済み方策と同条件の比較ではない。
デモと実作業を分けるのが記憶である。部品キットの組立や棚の補充、部屋の片付けは、何を済ませ何が隠れたかを覚えていなければならない。pi0.5に後付けして実機の成功率を3倍近くに高めた固定容量の記憶は、人手不足を受けて双腕ロボットで多工程の作業を自動化しようとする日本の製造現場やロボットメーカーにも意味がある。遅延が縮み、ブロック以外の作業でも結果が保たれれば、1〜2年で商用のVLAソフトにこうした記憶モジュールが入るとみられる。
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