英XRlabs、シードで840万ドル調達 Playground Global主導で手術室AI
英ロンドンの手術室AI新興企業XRlabsは10月19日、ビジネスワイヤ経由のプレスリリースで、Playground Globalが主導しEka Venturesが参加したシードラウンドで840万ドルを調達したと発表した。
同社のソフトウェアは術中映像、ナビゲーションデータ、CTとMRIを一つのリアルタイム画面に統合し、NVIDIAのJetson ThorとIsaac for Healthcareで手術用スコープに器具追跡と意図認識型の自動化を加える。
術中向け製品SurgicalOSは開発中で、まだ販売していない。調達額は2025年2月のプレシード230万ドルの3.65倍となる。
英ロンドンの手術室AI新興企業XRlabsは10月19日、ビジネスワイヤ経由で配信したプレスリリースで、シードラウンドで840万ドルを調達したと発表した。Playground Globalが主導し、Eka Venturesが参加した。企業価値は開示していない。同社は現役の脳神経外科医Ali Haddad氏が創業した。調達に合わせ、米メドトロニックの会長兼CEOを務めたOmar Ishrak氏が取締役会議長に就いた。[企業プロフィール](/companies/xrlabs)
XRlabsは自社製品を新しい装置ではなく、手術室の既存機器に重ねる外部のAI層と位置づける。同社によると、プラットフォームは4K 3D手術用スコープ上ですでに動き、ナビゲーションシステムと連携して、術中映像、ナビゲーションのテレメトリー、術前のCTとMRI画像を解剖学に基づく一つのリアルタイム画面に統合する。NVIDIAのロボティクス分野のグローバルパートナーに選ばれ、Jetson ThorとIsaac for Healthcareを使って、手術用スコープに低遅延の認識、器具追跡、意図認識型の自動化を持ち込むという。ただし同社サイトは、術中向け製品SurgicalOSが開発中で商用化されていないと明記している。2025年12月に実際の手術室で初めて評価され、同社はこれを複雑な頭蓋内脳神経外科手術でのフィジカルAIの初の臨床使用としている。現在販売しているのは、CTとMRIを拡張現実の3Dモデルに再構成して手術計画に使うXRlabs SIMで、米TIME誌の2025年ベスト発明に選ばれた。
同社が示した資金の使途
XRlabsは調達資金を開発と臨床の人員拡充、英国、欧州、米国での薬事手続き、3大陸の提携医療機関での臨床エビデンス拡大に充てるとしている。英国政府の国家AI計算基盤AI Research Resourceの計算資源の割り当ても受けた。同社サイトによると、世界での使用例は100件を超える。
- 2025年2月10日
- プレシード
- 230万ドル
- 非開示(Eka Venturesなど米英の投資家)
- 2026年10月19日
- シード
- 840万ドル
- Playground Global
同社発表。倍率 = 8.4 / 2.3 = 3.65倍、間隔616日、開示累計1070万ドル。
2026年10月20日時点
プレシードからシードまで616日(2025年2月10日から2026年10月19日)で、金額は3.65倍(8.4 / 2.3)になった。開示ベースの累計調達額は1070万ドル。Eka Venturesは両ラウンドに参加している。
MEKAWIREデータで見る手術ロボット投資との比較
MEKAWIREの検証済みデータでは、Playground Globalが主導したもう一つの案件は2022年4月のAgility RoboticsのシリーズB(1億5000万ドル)だ。同ファンドはSkydio、Robust AI、FarmWiseにも出資している。
- Distalmotion
- スイス
- シリーズG
- 2025年11月
- 1億5000万ドル
- ZAP Surgical
- 米国
- 資金調達
- 2026年10月
- 3600万ドル
- Lifeward
- イスラエル
- 戦略出資
- 2026年3月
- 1000万ドル
- XRlabs
- 英国
- シード
- 2026年10月
- 840万ドル
- Aleph Surgical
- 記載なし
- プレシード
- 2026年9月
- 750万ドル
MEKAWIRE検証済みデータの開示額のみで推計ではない。比率 = 8.4 / 比較企業の金額。
2026年10月20日時点
ハードウェア企業と比べると規模は小さい。DistalmotionのシリーズG(1億5000万ドル)の5.6%、Aleph Surgicalのプレシード(750万ドル)の1.12倍にあたる。過去12カ月にMEKAWIREが記録した手術と医療ロボットの開示済み調達4件の合計は、今回を除いて2億350万ドルだった。既存のスコープやナビゲーション装置の上で動くソフトウェアは、ロボットアームを自前で作る資本負担を避けられる一方、機器メーカーが映像やデータの出力を開放することが前提になる。内視鏡や光学機器を手がける日本の医療機器メーカーにとっては、競合というより提携先候補となる構図だ。市場の全体像は[手術ロボット市場の解説記事](/news/surgical-robots-market-2026-explained-11710-da-vinci-systems-8400-surgical-robots-sold-challengers-backed-by-medtech-giants-20261017)にまとめている。
残る論点は承認と収益化だ。SurgicalOSは未承認で、有償で使う病院も公表されていない。スコープを自ら動かす意図認識型の自動化は、英国、欧州、米国の規制当局が最も厳しく見る部分になる。次に注目すべきは、SurgicalOSの初の承認申請と、自社のスコープやナビゲーション装置にXRlabsのソフトウェアを載せて出荷する機器メーカーが現れるかどうかだ。
- シード840万ドル、企業価値は非開示
- Playground Global
- Eka Ventures(プレシードにも参加)
- メドトロニック元会長兼CEOのOmar Ishrak氏が議長に就任
- SurgicalOSは開発中で未発売、XRlabs SIMは販売中
- NVIDIA Jetson ThorとIsaac for Healthcare、英AIRRの計算資源を割り当て
- 2025年2月10日のプレシード230万ドル
