中国、初のヒューマノイド国家規格6本を発行 ユニツリーとUBテック、シャオミが全規格の起草に参加
中国は9月28日、ヒューマノイドロボットの初の国家規格6本を発行した。総則、環境認識、意思決定と計画、運動制御、作業遂行、シミュレーション試験基盤を対象とし、2027年4月1日に施行すると国家市場監督管理総局の国家規格データベースが示している。
いずれも推奨規格。MEKAWIREの集計では123機関が延べ253の起草枠を占め、ユニツリー、UBテック、シャオミのロボット子会社は6本すべてに名を連ねた一方、アジボット、ギャルボット、フーリエ、楽聚はどの名簿にもない。
中国がヒューマノイドロボット専用の国家規格を初めて発行した。国家市場監督管理総局(SAMR)の国家規格データベースによると、2026年9月28日に発行された推奨規格6本は、ヒューマノイドの環境認識、計画、運動、作業遂行に関する技術要件と、試験用シミュレーション基盤の仕様を定め、2027年4月1日に施行される。[ユニツリー](/companies/unitree)と[UBテック](/companies/ubtech-robotics)はすべての規格の起草機関に入っている。
規格は強制規格のGBではなく推奨規格のGB/Tだ。それでも注目すべきは誰が書いたかである。MEKAWIREが6本の起草機関一覧を数えたところ、123機関が延べ253枠を分け合い、上場する一部の大手がすべての文書に名を連ねる一方、資金調達額の大きい新興勢の多くは不在だった。
6本の規格はヒューマノイドを買い手が試験する部分に分けた
GB/T 48317「ヒューマノイドロボット技術要求」は総則、環境認識、意思決定と計画、運動制御、作業遂行の5部構成で、別にGB/T 48316がシミュレーション試験基盤を定める。いずれも全国ロボット標準化技術委員会の所管で、ヒューマノイド分会が実務を担い、主管部門は中国機械工業連合会だ。
- GB/T 48316-2026
- シミュレーション試験基盤
- 31
- 浦江国家実験室
- GB/T 48317.1-2026
- 第1部 総則
- 51
- 北京機械工業自動化研究所
- GB/T 48317.2-2026
- 第2部 環境認識
- 43
- 宇樹科技(ユニツリー)
- GB/T 48317.3-2026
- 第3部 意思決定と計画
- 32
- 浦江国家実験室
- GB/T 48317.4-2026
- 第4部 運動制御
- 54
- 北京人形ロボット創新センター
- GB/T 48317.5-2026
- 第5部 作業遂行
- 42
- 優必選(UBテック)
- 合計
- 推奨規格6本
- 延べ253、実数123機関
- データなし
6本とも2026年9月28日発行、2027年4月1日施行(185日後)、推奨規格(GB/T)、全国ロボット標準化技術委員会ヒューマノイド分会の所管。起草機関数は国家市場監督管理総局の国家規格データベースの起草機関一覧をMEKAWIREが10月19日に集計。123は延べ253枠の重複を除いた機関数。
2026年10月19日時点
規格計画番号はいずれも2025で始まり、2025年に立項されたことを示す。MEKAWIREが確認したのは題名、日付、分類、起草機関などのデータベース記録で、本文の技術内容はこの記事では扱わない。
3社がすべての部に参加した
6本すべてに名があるのは、ユニツリー、UBテック、シャオミの北京ロボット子会社、北京機械工業自動化研究所、上海人工知能研究院の5機関だけで、123機関の4%にあたる。国の支援を受ける北京人形ロボット創新センターは運動制御の筆頭起草機関で、5本に参加した。ユニツリーは環境認識、UBテックは作業遂行の筆頭だ。
- ユニツリー
- 6
- UBテック
- 6
- シャオミロボット(北京)
- 6
- 北京人形ロボット創新センター
- 5
- DEEPロボティクス
- 4
- 美的集団
- 3
- エンジンAI
- 2
- Dobot
- 2
- キーノンロボティクス
- 2
- ロボットエラ
- 1
- 小鵬汽車
- 1
- Pudu
- 1
- アジボット
- 0
- ギャルボット
- 0
- フーリエ
- 0
- 楽聚ロボティクス
- 0
MEKAWIREが各社の中国での登記名を6本の起草機関一覧と照合した。0は名前がないことを示す。起草参加の有無は規格適合とは関係がない。
2026年10月19日時点
MEKAWIREが追跡するヒューマノイド企業の中国登記名を照合すると、DEEPロボティクスは4本、美的集団は3本、エンジンAI、Dobot、キーノンは2本、ロボットエラ、小鵬汽車、Puduは1本に参加していた。大型調達を重ねたアジボット、ギャルボット、フーリエ、楽聚はどこにも名前がない。
推奨規格でも市場を動かす理由
中国では推奨国家規格が政府調達や補助金、認証の基準になることが多く、総則の起草機関には中国品質認証センター自身も入っている。国有工場や実証事業に入るヒューマノイドは、GB/T 48317への適合を問われる可能性が高い。起草機関は競合が満たすべき試験方法をいち早く知ることになる。
時期も重要だ。国際的なヒューマノイド規格案ISO 25785-1は未発行で、ヒューマノイドという言葉すら使っていないと、MEKAWIREは17日の[ロボット安全規格の解説](/news/robot-safety-standards-2026-explained-iso-10218-2025-iso-ts-15066-humanoid-iso-25785-1-eu-korea-china-20261017)で整理した。国際規格に先立ち中国の国内基準が来年4月に施行される。中国はIFRの集計で2025年に産業用ロボット35万4000台、世界の59%を設置した市場だ([中国市場の解説](/news/china-robotics-market-2026-explained-354000-robot-installations-59-percent-of-world-domestic-brands-55-percent-ipo-funded-20261017))。
MEKAWIRE分析
中国初のヒューマノイド規格は主に上場大手が書いた。中国の買い手が手にする最初の公式チェックリストは、新興勢ではなくユニツリー、UBテック、シャオミのロボットの作り方を映す。
根拠は起草機関の分布だ。ヒューマノイドメーカー3社が6本すべてにいて、資金力の大きい民間新興4社は1本もない。UBテックは開示資料で2025年にヒューマノイド1079台、2026年上期に921台を販売したとしており、すでに量産出荷する製品のルールを自ら書いている。
最も強い反論は、起草参加は支配ではないという点だ。標準化委員会は合意で動き、規格は任意適用で、不在の企業も認証を受けられる。またMEKAWIREの集計は名称の照合であり、関連会社や業界団体を通じて参加した可能性は残る。
日本の減速機やセンサー、モーターのメーカーにとって、中国のヒューマノイド案件に部品を納める際、2027年以降はGB/T 48317への適合データを求められる可能性がある。強気シナリオでは買い手が素早く採用し、起草機関が先に認証を得て、2027年4月から入札の標準チェックリストになる。弱気シナリオでは文書が一般論にとどまり、発注側が独自仕様を書き続ける。
注目すべき兆候は三つある。2027年4月1日より前にGB/T 48317を引用する認証制度が出るか、2027年の入札文書が引用するか、ヒューマノイド分会の次の起草案件にアジボットやギャルボットが加わるかだ。
- ヒューマノイドロボットの推奨国家規格6本:GB/T 48317.1〜.5(技術要求)とGB/T 48316(シミュレーション試験基盤)
- 2026年9月28日、2027年4月1日施行(185日後)
- 推奨規格(GB/T)、強制ではない
- 全国ロボット標準化技術委員会ヒューマノイド分会、主管部門は中国機械工業連合会
- 123機関が延べ253枠(MEKAWIRE集計)
- ユニツリー、UBテック、シャオミロボット(北京)、北京機械工業自動化研究所、上海人工知能研究院
- アジボット、ギャルボット、フーリエ、楽聚
- 国家市場監督管理総局の国家規格データベース、10月19日確認
なぜ重要か
ISOのヒューマノイド規格がまだない中、中国はヒューマノイドを独立した製品分野として国家規格を定めた最初の主要市場となった。推奨国家規格は調達仕様や補助金要件、認証に組み込まれることが多く、6本は2027年以降、国有の買い手や産業団地、実証事業のチェックリストになる可能性が高い。
認識、計画、運動制御、作業遂行という区分はヒューマノイドのソフトウエアの層構造と重なり、完成機だけでなく各層の供給者もこの基準で評価される。
競合分析
開示出荷台数が最も多い上場2社、ユニツリーとUBテックが6本すべてに参加し、それぞれ1本の筆頭を務めた。シャオミのロボット子会社も全規格に入り、北京人形ロボット創新センターが運動制御を主導した。新興勢ではDEEPロボティクスとエンジンAIが参加し、アジボット、ギャルボット、フーリエ、楽聚はいない。
川崎重工など日本勢がヒューマノイドを中国で展開する場合、現地大手が書いた試験方法に合わせることになる。
企業価値の背景
規格発行に伴う企業価値の変化は開示されていない。上場起草機関には自国市場のルールを書いたという材料が、不参加の未上場企業には次の資金調達で問われる論点が生まれる。MEKAWIREは起草参加に価値を付けない。
サプライチェーンへの影響
起草機関にはロボットメーカーのほか、モーター、減速機、センサーの供給者、半導体設計会社、通信会社、電力会社、試験機関が幅広く入る。触覚センサーのPaXiniは3本に、駆動系メーカーは運動制御の部に参加した。
中国のヒューマノイド案件に減速機やセンサーを納める日本の部品メーカーは、認証制度ができればGB/T 48317への適合データを求められることを想定すべきだ。
今後の注目点
2027年4月1日より前に中国品質認証センターなどがGB/T 48317を引用するヒューマノイド認証制度を出すか。2027年の政府と国有企業の入札が引用するか。ヒューマノイド分会の新規案件にアジボット、ギャルボット、フーリエが加わるか。ISO 25785-1の議論に中国の文書が反映されるか。
アナリストの見方
仮説は、中国初のヒューマノイド公式チェックリストを上場大手と国の研究機関が主に描き、試験方法づくりで優位に立ったというものだ。確信度は中程度。起草機関データは一次情報で漏れがないが、規格本文は検証しておらず、推奨規格が使われない可能性もある。起草機関から独立した認証制度が生まれるか、不参加企業が次の作業に加われば見方を改める。
問うべき論点
ユニツリーとUBテックには、施行前に現行機種をGB/T 48317で認証する計画と費用を。アジボットとギャルボットには、起草名簿にいない理由と顧客からの適合要求の見通しを。分会には、最初に改訂する部と、ISO 25785-1に文書を提出するかを問いたい。