エコバックス7〜9月期純利益72%減、メモリー高が直撃 ロボロックは33%増
中国のロボット掃除機大手エコバックスは31日、7〜9月期の純利益が前年同期比72.43%減の1億2090万元になったと発表した。売上高は10.61%増の46億4700万元。メモリーチップの調達価格の大幅上昇と人民元高を理由に挙げた。
同日決算を開示したロボロックは売上高が34.85%増の56億1400万元、純利益が33.01%増の4億7920万元で、米国の関税還付も利益を押し上げた。MEKAWIREが両社の開示を比べると、1〜9月の売上高でロボロックがエコバックスを上回った。
中国の上場ロボット掃除機メーカー2社が31日に開示した7〜9月期決算は、明暗がはっきり分かれた。エコバックス(科沃斯)は開示資料で、株主帰属純利益が前年同期比72.43%減の1億2090万元になったと発表した。売上高は10.61%増の46億4700万元だった。同日開示したロボロック(石頭科技)は売上高が34.85%増の56億1400万元、純利益が33.01%増の4億7920万元となった。
この差は2社の株価にとどまらない。エコバックスは2026年のメモリー価格高騰が家庭用ロボットに与える影響を数字で示した最初の大手だ。ロボット掃除機は地図作成や画像認識、端末側AIにDRAMとフラッシュメモリーを使う。ロボロックが同じコストを一時的に覆い隠しているだけなのかが焦点になる。
エコバックスが挙げた要因
同社は決算資料で、メモリーチップの調達価格が前年から大きく上がり、人民元高も続いたため売上総利益率が低下したと説明した。税引前利益は81.38%減の7880万元。本業に近い非経常損益控除後の純利益も46.77%減の2億2580万元だった。さらに上場投資先の評価損として金融資産の公正価値変動損失1億4560万元を計上し、最近の市場変動を理由に挙げた。
1〜9月の売上高は16.39%増の149億8800万元、純利益は3.47%減の13億6900万元。MEKAWIREが損益計算書から算出した売上総利益率は45.8%で、前年同期の49.7%から下がった。営業キャッシュフローは3億4200万元のマイナスに転じた。前年に多額の国の補助金未収金を回収した反動と、メモリーなど半導体部品の前倒し調達が理由だという。9月末の棚卸資産は54億1000万元で前年末比66.3%増えた。
取締役会は29日、1株72.49元以下で1億5000万〜2億元の自社株買いを決め、従業員持株制度に充てると別途開示した。
- 7〜9月売上高(百万元)
- 4,646.7
- +10.61%
- 5,614.4
- +34.85%
- 7〜9月株主帰属純利益(百万元)
- 120.9
- -72.43%
- 479.2
- +33.01%
- 7〜9月非経常控除後純利益(百万元)
- 225.8
- -46.77%
- 402.6
- +20.25%
- 7〜9月純利益率(MEKAWIRE算出)
- 2.6%
- 前年約10.4%
- 8.5%
- 前年約8.7%
- 1〜9月売上高(百万元)
- 14,987.6
- +16.39%
- 15,698.8
- +30.10%
- 1〜9月株主帰属純利益(百万元)
- 1,368.7
- -3.47%
- 1,465.6
- +41.23%
- 1〜9月売上総利益率(MEKAWIRE算出)
- 45.8%
- 前年49.7%
- 42.1%
- 前年43.7%
- 1〜9月研究開発費(百万元)
- 800.9
- +12.55%
- 1,044.8
- +1.65%
- 9月末棚卸資産(百万元)
- 5,410.2
- 前年末比+66.3%
- 6,262.9
- 前年末比+135.9%
- 1〜9月営業キャッシュフロー(百万元)
- -342.0
- -117.42%
- -301.7
- 該当なし
出所:エコバックス(上海603486)とロボロック(科創板688169)の2026年第3四半期報告(2026年10月31日開示、監査前)。売上総利益率 = (売上高から売上原価を引いた額)/ 売上高、純利益率 = 株主帰属純利益 / 売上高。前年7〜9月の数値は開示された増減率から逆算。
2026年10月31日時点
同じ市場で伸びたロボロック
ロボロックは海外展開の深化と市場シェアの上昇で増収となり、経費率の改善で増益になったと説明した。注記にはもう一つの要因がある。子会社Roborock Technology Co.は9月末までに、米国がIEEPAに基づいて課した関税の還付金3988万ドル(2億7330万元)を受け取り、うち2億1380万元を1〜9月の損益に計上した。MEKAWIREの計算では1〜9月純利益14億6600万元の14.6%に当たる。
ロボロックはメモリー価格に触れていないが、利益率はやや低下した。1〜9月の売上総利益率は42.1%で前年同期の43.7%を下回り、7〜9月期の純利益率は8.5%と前年の約8.7%に届かなかった。棚卸資産は62億6300万元と2倍超に膨らんだ。
MEKAWIRE分析
メモリー高は業界共通のコストであり、ロボロックは関税還付と高成長で当面吸収し、エコバックスは利益で直接受け止めた。
根拠は両社の開示にある。2社とも売上総利益率が下がり、在庫を前年末比でロボロックは135.9%、エコバックスは66.3%積み増した。値上がり前に部品を確保する典型的な動きだ。順位も入れ替わった。1年前の1〜9月売上高はエコバックスが128億7700万元でロボロックの120億6600万元を上回っていたが、今年はロボロックが156億9900万元で逆転した。
反論として、エコバックスの今期は一時的な投資損失と反転し得る為替要因でゆがんでいるとの見方がある。ただ非経常損益控除後の利益もほぼ半減しており、コスト圧力は現実だ。
両社は日本でもロボット掃除機を販売しており、メモリー高を受けた値付けの変化は日本市場にも波及し得る。業界の全体像は家庭用ロボット解説、各社はエコバックスとロボロックの企業ページにまとめた。
見方を変える材料は、エコバックスが値上げなしで10〜12月期の利益率を安定させること、または関税還付が終わった後にロボロックにも同じ利益率の圧迫が表れることだ。両社の2026年通期決算、11月11日の商戦前の販売価格、エコバックスの自社株買いの初回進捗開示に注目したい。
- 46億4700万元、10.61%増
- 1億2090万元、72.43%減
- メモリーチップ価格の大幅上昇と人民元高で売上総利益率が低下
- 56億1400万元、34.85%増
- 4億7920万元、33.01%増
- 3988万ドル受領、1〜9月損益に2億1380万元計上
- ロボロック156億9900万元、エコバックス149億8800万元
- 1億5000万〜2億元、従業員持株制度向け
