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2026年の日本ロボット市場を読み解く:国内設置3万6219台で10年ぶり低水準、日本製ロボットの82%は輸出

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国際ロボット連盟(IFR)によると、日本の2025年の産業用ロボット設置台数は3万6219台で19%減り、10年ぶりの低水準となって米国に抜かれ世界3位に後退した。一方、日本ロボット工業会(JARA)会員の出荷18万9591台のうち82.6%は海外向けだった。

2026年上期の受注も過去最高を更新したが、出荷額の82.3%は輸出である。日本は世界のロボット市場ではなく、ロボット工場だ。

日本の2025年の産業用ロボット設置台数は3万6219台で、前年から19%減り、過去10年で最も少なかった。国際ロボット連盟(IFR)が9月24日、「ワールドロボティクス2026」で発表した。日本は世界のロボット市場で2位から3位に後退し、首位の中国(35万4000台)、2位の米国(約3万8500台)に次ぐ順位となった。ところが日本のロボットメーカーは過去最高の1年を送った。日本ロボット工業会(JARA)の会員は2025年に18万9591台を出荷し、そのうち15万6516台、82.6%が海外向けだった。

この二つの数字が、日本のロボット市場の規模を問う疑問への答えになる。国内は小さく縮み、輸出国としては大きく伸びている。MEKAWIREはIFRの国別統計、JARAの会員統計、政府文書といった一次統計のみを使い、調査会社の推計は使っていない。より重要なのは、この乖離が一時的な景気循環なのか産業構造なのかという点だ。2026年のデータは後者を示している。

自動車と電機の工場がロボットを買わなくなった

減少は日本の二大需要先に集中した。IFRの市場説明資料によると、2025年の電気電子工場向け設置は1万981台で21%減、自動車産業向けは9519台で27%減だった。金属機械は13%減の6592台。IFRが示した業種で増えたのは食品だけで、16%増の950台だった。MEKAWIREが同じ数値から計算すると、設置台数は2024年の4万4453台から8234台減り、そのうち6527台、79%が電機と自動車によるものだ。設置のピークは2018年の約5万5000台で、2025年はピークより3分の1ほど低い。IFRは需要がわずかに伸びるとみるが、短中期での大きな回復は見込みにくいとした。

日本の産業用ロボット設置台数、需要業種別(2023~2025年)
  • 電気電子
    2023
    14,675
    2024
    13,940
    2025
    10,981
    2025年増減
    -21%
  • 自動車
    2023
    11,881
    2024
    13,087
    2025
    9,519
    2025年増減
    -27%
  • 金属機械
    2023
    7,854
    2024
    7,595
    2025
    6,592
    2025年増減
    -13%
  • プラスチックと化学
    2023
    1,345
    2024
    1,319
    2025
    1,177
    2025年増減
    -11%
  • 食品
    2023
    890
    2024
    819
    2025
    950
    2025年増減
    +16%
  • その他
    2023
    3,376
    2024
    3,314
    2025
    2,907
    2025年増減
    -12%
  • 分類なし
    2023
    6,085
    2024
    4,379
    2025
    4,093
    2025年増減
    -7%
  • 合計
    2023
    46,106
    2024
    44,453
    2025
    36,219
    2025年増減
    -19%

出典:IFRワールドロボティクス2026市場説明資料(2026年9月24日)のグラフ数値。2023年と2024年の合計、その他と分類なしの増減率はMEKAWIREの集計と計算。

2026年9月24日時点

それでも日本の自動化水準は高い。IFRは6月18日の発表で、日本のロボット密度を製造業従業員1万人当たり446台と集計した。ドイツの449台とほぼ並び、米国の307台を上回るが、韓国の1220台とは大きな差がある。成熟した稼働台数で国内の減速の一部は説明できるが、同じロボットの海外需要がなぜ急増しているかは説明できない。

日本製ロボットの5台に4台は海外へ

JARAの会員統計が生産品の行き先を示す。2025年の受注額は27.8%増の9258億円だった。輸出は36.2%増の6945億円、国内出荷は8.9%減の1763億円で、出荷額の79.8%を輸出が占めた。この構図は2026年も続いた。JARAは4月24日、1~3月期の受注額が41.0%増の2948億円と過去最高だった一方、国内出荷台数は5.3%減ったと発表した。7月23日には、4~6月期の受注額が40.0%増の3127億円で、3四半期連続で過去最高を更新したと公表した。同期の国内出荷台数は7.3%増と6四半期ぶりに増えたが、JARAは自動車製造業を中心に国内は勢いに乏しいと評した。

JARA会員のロボット出荷:輸出と国内
  • 2025年
    受注額 億円(前年比)
    9,258(+27.8%)
    出荷台数
    189,591
    輸出
    156,516
    国内
    33,075
    金額ベースの輸出比率
    79.8%
  • 2026年1~3月
    受注額 億円(前年比)
    2,948(+41.0%)
    出荷台数
    54,255
    輸出
    44,630
    国内
    9,625
    金額ベースの輸出比率
    79.3%
  • 2026年4~6月
    受注額 億円(前年比)
    3,127(+40.0%)
    出荷台数
    50,768
    輸出
    43,046
    国内
    7,722
    金額ベースの輸出比率
    85.1%
  • 2026年上期
    受注額 億円(前年比)
    6,075
    出荷台数
    105,023
    輸出
    87,676
    国内
    17,347
    金額ベースの輸出比率
    82.3%

出典:JARA統計発表(2026年1月23日、4月24日、7月23日、会員ベース、電子部品実装機を含む)。輸出比率は輸出額を総出荷額で割った値、上期はMEKAWIREが2四半期を合算。

2026年7月23日時点

2四半期を合わせると、会員の2026年上期の出荷は10万5023台、5096億円で、輸出比率は台数で83.5%、金額で82.3%だった。上期の受注額6075億円は、すでに2025年通年の65.6%に達する。JARA会長の橋本康彦川崎重工業社長は1月、非会員を含む全体ベースで2026年の受注を3.2%増の1兆300億円と見通していたが、会員の実績はこのペースを大きく上回っている。

輸出好調を読むうえで注意すべき点がある。JARAの集計はマニピュレーティングロボットと電子部品実装機を合わせたもので、IFRの設置台数とは直接比べられない。実装機の輸出は1~3月期が839億円、4~6月期が1088億円で、それぞれ47.7%、40.9%増えた。MEKAWIREの計算では上期輸出額の46%に当たる。JARAは中国、タイ、ベトナムを中心とするアジア向けが最も強かったとしている。日本のロボット輸出急増の大きな部分は、AI関連投資を追い風にしたアジアの電子工場向け実装装置である。

MEKAWIRE分析

日本は世界のロボット市場ではなくロボット工場である。メーカーは輸出と部品で成長し、国内設置は縮み、国のAIロボット戦略はまだ国内需要の数字に表れていない。

企業業績も同じ姿を示す。ファナックの2026年3月期の売上高は過去最高の8578億円で、ロボットが44.1%を占め、第4四半期の受注は中国の55.2%増が押し上げた。MEKAWIREの計算では、ファナックのロボット事業約3780億円は、2025年のJARA会員全体の国内出荷額1763億円の約2.1倍に当たる。ただし会計年度と暦年の違いがある。ハーモニックドライブシステムズの4~6月期受注は55.7%増の241億円で、北米の手術ロボット向け大口案件がけん引した。

日本の資本も外に向かっている。ソフトバンクグループは2025年10月にABBのロボット事業を53億7500万ドルで買収することで合意し、オムロンは10月13日にOnLogicの親会社を6億7500万ドルで買収すると発表した。約1年で海外のロボット関連買収は60億5000万ドルに上る。清水建設は米国の人型ロボット新興企業ノーブルマシーンズに出資した。これに対し、MEKAWIREのデータベースにある2026年の世界のロボット資金調達104件のうち、日本企業はQibiTech(キビテク)の約6億円のシリーズBの1件だけだ。米国は47件、中国は25件、韓国は10件である。

日本と主要ロボット市場の比較
  • 中国
    2025年設置(IFR)
    354,000
    増減
    +20%
    ロボット密度(IFR)
    該当なし
    2026年ロボット資金調達件数(MEKAWIRE)
    25
  • 米国
    2025年設置(IFR)
    約38,500
    増減
    +12%
    ロボット密度(IFR)
    307
    2026年ロボット資金調達件数(MEKAWIRE)
    47
  • 日本
    2025年設置(IFR)
    36,219
    増減
    -19%
    ロボット密度(IFR)
    446
    2026年ロボット資金調達件数(MEKAWIRE)
    1
  • 韓国
    2025年設置(IFR)
    30,000
    増減
    -1%
    ロボット密度(IFR)
    1,220
    2026年ロボット資金調達件数(MEKAWIRE)
    10
  • ドイツ
    2025年設置(IFR)
    25,000未満
    増減
    -8%
    ロボット密度(IFR)
    449
    2026年ロボット資金調達件数(MEKAWIRE)
    3

出典:IFRワールドロボティクス2026(9月24日)、ロボット密度はIFRの6月18日発表。中国の密度は使用していない。資金調達件数はMEKAWIREデータベース、2026年10月17日時点の世界104件、開示分のみ、推計なし。

2026年10月17日時点

最も有力な反論は政策と人手不足だ。政府が3月26日に了承したAIロボティクス戦略は、2040年に約60兆円と見込む汎用ロボット市場で30%超のシェアを目指し、AIロボット協会(AIRoA)が2027年6月ごろにオープンソースのロボット基盤モデルを公開し、16分野で導入を進めるとした。JR西日本の多機能鉄道重機のように、工場の外にも需要はある。こうした事業が広がれば、IFRの日本に対する横ばい見通しは慎重すぎたことになる。

国内の読者にとっての論点は、輸出で稼ぐ力を国内の自動化にどうつなげるかだ。人手不足が深刻な建設、物流、介護、インフラ保守は戦略の重点分野だが、JARAの国内出荷統計に表れる需要はまだ製造業中心で、しかも自動車向けが減り続けている。

強気シナリオは、4~6月期の反転後も国内出荷が伸び続け、戦略に基づく公共調達が2027年に始まり、日本メーカーが減速機とアクチュエーターで人型ロボットの部品層を押さえる場合だ。弱気シナリオは、国内の自動車と電機の設備投資が低迷を続け、輸出は中国と東南アジアの電子産業の景気に左右され、知能の層は日本企業が提携し、あるいは買収するグーグルやエヌビディア、海外新興企業にとどまる場合である。

見方を変える条件は、JARAの国内出荷が3四半期連続で増えるか、IFRが発表する日本の2026年設置台数が再び4万台を超えることだ。

論点を検証する三つの日程

2026年10月下旬に出るJARAの7~9月期統計は、4~6月期の国内出荷増が反動にすぎなかったかを示す。両社が2026年半ばから後半と見込むソフトバンクによるABBロボット事業の買収完了で、日本の企業グループが海外に工場を持つ世界有数のロボットメーカーを傘下に収める。2027年6月ごろに予定されるAIRoAの基盤モデルのベータ版は、日本の戦略が自前のロボットソフトウエアを生み出せるかを測る最初の試金石となる。

このニュースは好材料か、悪材料か

 

要点
2025年の設置
産業用ロボット3万6219台、19%減、10年ぶり低水準、世界3位に後退(IFR)
減少した業種
電気電子1万981台(-21%)、自動車9519台(-27%)、金属機械6592台(-13%)、食品950台(+16%)
ロボット密度
1万人当たり446台、ドイツ449台並み、韓国は1220台(IFR)
2025年の輸出
JARA会員の出荷18万9591台のうち15万6516台(82.6%)が輸出、金額では79.8%
2026年上期
受注6075億円(1~3月期+41.0%、4~6月期+40.0%、過去最高)、輸出比率は出荷額の82.3%
資本の流れ
ソフトバンクのABBロボット事業買収53億7500万ドル、オムロンのOnLogic買収6億7500万ドル。2026年の日本のロボット資金調達は104件中1件(MEKAWIRE)
政策
AIロボティクス戦略(3月26日)、2040年に約60兆円市場の30%超を目指す
出典
MEKAWIRE インテリジェンス
  1. 01

    なぜ重要か

    日本はファナック、安川電機、川崎重工業、ナブテスコ、ハーモニックドライブシステムズの本拠地で、中国の国内メーカーに次ぐ産業用ロボットの供給源だ。供給網を考えるには、生産国としての日本と市場としての日本を分ける必要がある。前者は過去最高のペースで伸び、後者は10年ぶりの低水準にある。

    日本のロボット株の受注は、国内工場の投資よりも中国と東南アジアの電子、自動車投資、北米の部品需要に連動するようになった。

  2. 02

    競合分析

    海外では、IFRによると2025年に中国市場の55%を握った中国ブランド、ソフトバンク傘下に入るABBロボット事業、美的集団傘下のKUKAと競う。ファナックの中国受注55.2%増は、日本勢が中国の成長業種でなおシェアを取っていることを示すが、中国勢の価格攻勢が最大のリスクだ。

    国内では新興企業の挑戦がほとんどない。2026年の日本のロボット資金調達はMEKAWIRE集計で1件にとどまり、ムジンの2025年12月の364億円の調達が例外的存在である。

  3. 03

    企業価値の背景

    買収価格が目安になる。ソフトバンクはABBロボット事業に2024年EBITDAの17.2倍に当たる53億7500万ドルを払い、オムロンはOnLogicの2025年売上高の4.4倍、EBITDAの約30倍を払う。国内需要が縮むなか、日本の買い手は海外資産に成長企業並みの倍率を払っている。

    ファナックのロボット事業約3780億円は2025年のJARA会員全体の国内出荷額1763億円を上回る。日本のロボットメーカーの企業価値評価は輸出市場から出発すべきだ。

  4. 04

    サプライチェーンへの影響

    日本の強みは精密部品にある。ハーモニックドライブシステムズの波動歯車減速機、ナブテスコの精密減速機、ファナックと安川電機のサーボモーターと制御装置だ。ハーモニックドライブの4~6月期受注55.7%増は北米の手術ロボットと半導体製造装置向けが主導した。

    弱点はソフトウエアとモデルである。日本メーカーによる最近のフィジカルAI提携5件のうち4件が、知能をグーグル、エヌビディア、アジャイルロボッツから取り込んでおり、AIRoAの国産基盤モデルは2027年6月ごろまで出ない。

  5. 05

    今後の注目点

    2026年10月下旬のJARA 7~9月期統計:国内出荷が2四半期連続で増えれば本稿の見方は弱まる。10月下旬のファナックの上期決算:中国受注と国内需要への言及。2026年半ばから後半のソフトバンクによるABBロボット事業の買収完了。2027年6月ごろのAIRoA基盤モデル。2027年9月のIFRワールドロボティクス2027での日本の2026年設置台数。

  6. 06

    アナリストの見方

    見立て:日本のロボット産業は輸出と部品の事業であり、2027年までその性格は変わらない。確信度:中。2025年と2026年上期の輸出データは強く一貫しているが、4~6月期に国内需要が持ち直し、政策支出がそれを加速させる可能性がある。

    JARAの国内出荷が3四半期連続で増えるか、AIロボティクス戦略の公共調達の規模がはっきりした段階で、国内市場への評価を引き上げる。

  7. 07

    問うべき論点

    ファナックと安川電機へ:2026年の受注のうち国内顧客の比率はどれほどか。中国での伸びは中国勢に対し価格競争力があるのか。JARAへ:輸出急増のうちAI投資に連動する電子部品実装機はどれほどで、景気への感応度はどうか。政府へ:AIロボティクス戦略の最初の公共調達はいつ、どの規模で始まるのか。ソフトバンクへ:買収後もABBロボット事業の生産は欧州と中国に残るのか。